オットとジュニアと三人暮らし

灰野海

「私」の話

初めまして。灰野です。

エッセイを書くのは初めてなので、何から始めたものか、正直あまりよくわかっていません。

ただ、主人との話を人にすると高確率で笑っていただけるので、

「もしやこやつ、ネタになるのでは」

と思って、少しずつメモをしておりました。

今回カクヨムで活動する際にメモが結構溜まっていることに気が付き、ならば一度まとめてみようかと思った次第です。


時系列でいえばまず、交際した頃の話なのですが、この話はもう主人不在です。というかそもそもこの頃はメモとってない。私個人の胸の内の話、もしくは私の自己紹介の話になります。

なので以下に記載はしますが、すっ飛ばして次話から読んでいただいても問題ございません。


大学一回生の終わりか、二回生の頃だったと思います。

(何回生って呼ぶの、関西だけって本当ですか?)

何があったかと言いますと、主人の前に交際していた人と別れました。

「私はもう、同性とは交際しない」

と決めた瞬間です。

交際していた方は、女性でした。


私自身、男性でも女性でも、ある程度仲良くなれば好きになるタイプの人間だということは、以前から気が付いていました。中学の終わりか高校入学くらいの頃に、初めて所謂腐の世界を覗いてしまい、そのときに

「あ、もしかして私も同性好きになれる側では?」

と。それまで好きになった人は男の子ばかりでしたが、たくさんの人と出会い、大学に入る頃には「もしかして」は「やっぱりか」になっていました。

LGBTのことにはあまり明るくありませんが、当時は自分のことをバイだと思っていましたが、今思えば多分違います。


簡単に言えば、同性と交際はできましたが、将来ずっと共にいる覚悟はできなかったのです。チキン野郎ですね。


もちろん、将来は結婚とは言わずともそれに近い関係に、とちらりと話を出されるたびに、考えはしました。

しかし私は当時、子どもがほしかったのです。私には妹がいますが、彼女は重度の自閉症。結婚はともかく、知能レベル三歳と言われた妹に出産はまず無理でしょう。孫の顔は私が見せてやるしかなかったのです。

彼女のことは好きでした、しかし

「親孝行とか子孫的なもんとか、知ったこっちゃねえわ!」

と夢中になることもできなかった。もしかしたら、夢中になれるかも、と彼女との認識のズレに気付いていながら口にはせず、ずるずると一緒にいました。

彼女からしてみれば、最低な人間ですよねこれ。恋人が、なんか知らんけど二人でいても電話していても、どこか上の空。

ある日電話で言われてしまいました。


「お前の想像する未来に、自分はいるのか」


と。

いなかったんですよね、これが。このときは確か、仕事してる図までしか想像してなかったと思うんですけど、家に帰るところを想像したら誰もいないんですよ。いないことに気が付いたとき、ああ別れるしかない、と思いました。同時に、背骨にぞわぞわと何かが通り、冷えていくような感覚。これは今でも忘れられない。背骨消えたと思った。


謝ったって謝り切れない。でも、世界で一番私のことを好いてくれたのは彼女だと思っています。

今はどうだろう。少なくとも、社会に出てもしばらくは確実にそう思っていました。


まあとにかくそんなこんなでお別れして、その時決めたのです。

同性とはもう付き合わない、不毛な思いはさせてはいけない。

二十歳をすぎて交際する人は、妹のような人間にも理解があり(彼女とは所謂幼馴染だったので、妹のことも理解してくれていました)きちんと将来を想像できる人にしよう。


そんな風に決めて、わりとすぐの頃だったと思います。

今の主人に出会いました。

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