第34話 past
「オースト帰るぞ、今日は疲れた騎士は連れて帰り明日にでも王都に届ける。」
これを愛車に乗せるのは少し、いや結構抵抗があるな少し焦げ臭いし泥まみれだ、トランクにでも入れておくか。
「ヒロト様あの人間は如何致しましょう」
敵、この世界での魔法使いに人差し指を刺すかのように視線を向け指示を仰ぐ。
「奴から全てを聞き出せ、言語、通貨、地位、国、軍事、政治、何故ここに居るか、全て聞き出せ。方法は問わん、拷問尋問詰問訊問、何でも良い聞き出せ」
「承知しました」
四人ほどトランクに詰め自分達は白い車の座席に乗車し帰宅を始めた。
取り戻した能力が馴染みさえすれば、ここに車を追加で持ってくることもできたんだが。
雲行きが怪しくなっていた。遠くの方をよく見ると雨が降っている。間も無くして此処にも雨が降り始めた。
時計を確認すると午後二時を過ぎた頃だった。
学校で在れば五時間目の中盤を過ぎた辺りと記憶している。
この世界に来て二日目早くして帰りたくなって来た、だがしかしクラスメイトや彼女を置いて帰るのは気が引ける、があの後輩にも少し会いたくなった、
本館と第一校舎を繋ぐ二階の渡り廊下
「有栖川せんぱーい」
後ろから呼びかけをくらい名前を言わらてしまった為振り返る。
居るのはニコニコした少女が一人面識は無いこの子の名前も当然知らない語尾に先輩と付けいていることから後輩とゆう事は分かった。
「先輩が有栖川先輩っすね、初めまして私一年D組の慈恩寺 桜花って言うっス」
「そうですか、私は、有栖川ヒロトです」
「先輩なので敬語使わなけれいいっスよ」
「そうですね、申し訳ない」
慈恩寺の表情が呆れ半分と言った感じだ。
言いたい事は分かるが俺にもペースが有る初対面の彼女に敬語を使うなと言う方が俺には無理な話。
「すまない、慣れるまで待ってくれ」
「仕方ないですねー私も鬼では無いので少しは待つっス」
「それで何か様かな」
「あ、そうだったっス、忘れてました。先輩って生徒会の書記されてるんですか?」
一年の慈恩寺が何故知っているのかさっぱりわからない。
「よく知ってるな、誰かから聞いたのか?」
「はい、お姉ちゃんが演説の時の動画を見せてくれたんっスよ」
慈恩寺の姉が誰かは知らないが、この学校は校内での携帯電話の仕様は禁止なんだが。
「それがっスね、面白くて面白くて!」
未だネタにする奴が居るとは予想だにして無かった、教室に帰れば、総理大臣だの昭和の人などと言われたものだが三日も待たず無くなった。
「それで先輩を見つけて、話しかけた次第っス」
「そうっスか、まっ今後とも宜しく」
「こちらこそ宜しくっス」
満面の笑みを浮かべる小柄な少女、黒い短髪の女子その子に出会った。
そんな過去を思い出し一層帰りたくなって来てしまった。
取り敢えずは爺さんに問いただすか。
「ヒロト様?本当にあの者を連れて帰って良かったのでしょうか?」
オーストが言うあの者はきっと騎士団長とその仲間の事を指しているのだろう。
「こいつらをあの場に置いておけば何らかの形で死んでいたのは間違いない、正式なものではないにしろクライアントであることは間違いない、こいつが死ぬと報酬がパーだ証人が居なくては骨折り損で終わりだ」
「しかし、報酬が金銭だったとしても使い道は無いと疑います、仮に価値あるモノだったとしても御身には不必要かと」
不必要、要らない、間に合っているという事なのだろう、正論だ異論はない、と言うより賛成だ俺もそう思っている、けれど。
「それだけが報酬では無いんだ、信用だ王から認めてと言わないが其れに通ずる物がある、後でどれだけ楽をするかそれを考えるんだ」
少しは納得した様子の大人びた白い少女だが未だ全部は納得してはいない様なので説明を続ける。
「冒険者始めて時間を掛けながら知名度を上げるのは悪く無いと思うし良いと思う周りからの信頼が厚くなるからな、だが時間がかかり面倒だ、そこまで待ってこんな世界で信用を有象無象な人間に貰うほどの見返りはない訳だ、ま、この国の王様がどんな行政を行なっているかわ知れない事実だが死んでも王だ、それ層の信用は貰えるだろう」
基地に着く頃には雨も止み夕陽が車体を照らす。
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