第30話 事態の重さ


俺は大体の事は話した、村の事、魔道士の事、敵国の反対が貴方達を追っているという事。


「その後、自白した魔道士が最後に自爆魔法を使いこの村は跡形もなく・・・」

「そのようなことが、申し訳ない!我々の責任で貴方方に危険を負わせてしまった事をどうか許してほしい!」


 実際俺たちは結果を見ると何の危険も無かった訳だが、少し浅はかだったと言わざる終えないだろう。

 もう少し自分たちの情報を機密にし、仲間を守って行こう。ま、こんな時のような使えるものはとことん使い再利用だ、要らなくなったら捨てればいいさ。


「そう気にされないでください、その過程がどうであれ幸い私たちは無事でしたし、気にしませんよ」


 ギネスが耳元に小声で伝えてきた。


「ヒロト様、この者達が来た方角から我々を取り囲むようにして接近してくる者、三十名確認しました」


「分かった。それは、あの魔道士の本隊だな」


「はい、そう考えていいでしょう」


「そうか、では俺はこの騎士たちを囮に殲滅するお前たちはここで待機していてくれ」



 深く頭を下げ後ろに下がる。

 早速、恩を売ることが出来る。しかし相手の個々の戦力が未だ把握しきれていない現状では自分で行くのは危険その為にこの囮、相手の戦力を測りそして王国に恩を売る、一石二鳥だな。


「騎士団殿、先程話したタサラ帝国の工作部隊の本隊がここを取り囲むように近づいてきています、どうしますかな?」


「それは本当ですか、出来るのであれば撃破しておきたい敵ですね」



 何もない草原を風が吹きながら、空はどこまでも青く。風は騎士団を嘲笑っている音に聞こえた。

 

 

「確かにいるな」


 自軍の見事な整列の前で旅人に知らされた人影を窺う。

 ここから見える範囲で十五人、草木で分かりにくいが各員が等間隔に距離を置き、こちらに接近してきている。

 その手には武器は無く、鋼鉄の鎧もない、それは魔道士で在ることの証拠。魔道士は時に修行次第でバリスタおも通さぬ水を使う者も居るつまり魔道士それぞれが自分なりの防御策があるとゆう事だ、それが意味する答えは俺たちが戦闘で圧倒的に劣るとゆう事。


「では、騎士団長殿、敵を打つ作戦を話し合いましょう」急かす様にそう言った。

「わかりましたがその前に副団長を参席させてもよろしいですかな?」


 その趣旨が俺にはイマイチ分からなかったなぜ参加させるのだろうか?作戦が決まればどうせ全ての隊員に聴かせて説明を挟む、確かに重大なことならば幾分かの人も交えての議論もあるだろうが今は時間を掛けてる暇はない、がもしかするとこの団長が頭の出来が悪いのであれば納得がいくな、だがそんなことは考えたくも、ないな。



「構いませんよ、知識は多いい方がいい」と取り敢えず返した。



 参加する三名が揃った。

 先ほど話に上がっていた副団長、よく見ると結構普通の何処にでもいそうなありふれた顔、元の世界であれば十中八九は誰も振り迎えることはないだろう。もしかすれば普通すぎて二度見くらいはするかもしれない。


「私は騎士団副団長を王から授かりました、

 ルーサー・D・グナイストです。お見知り置きを」


「宜しく頼みます、グナイスト殿」適当に挨拶を返す。


「最初に思ったかとを、もうしても宜しいでしょうか、何故我々は村々を回ったにも関わらず、何故敵に遭遇することがなっかたのでしょう」



 人の思うところは図らない、幾らのたまったところで真実の言明は不確実である。その為相手取って居るタサラ帝国の真意は読み取ることは出来ない出来る筈もない。

 しかしながら仮説を立てることは出来る。



「人員不足と言うのが真っ先に思い付きます、敵国に工作員を潜入させるにはある程度の少数精鋭でなくてはならない、その人員問題で襲来した全ての村に配置させる人数と時間が足りず中途半端になったまま作戦が決行されたと見るべきでしょう。その後潜伏した村に狼煙を上げ団長殿を誘き寄せ後ろから殺し、来なければ連絡を入れて本隊と合流、最大戦力で叩く其れが私が考える線です」



 顔色変えずにそう謂い放ったヒロトは何処か見えない恐ろしさがあった。

 この声は抑えのきいた声。



「それでは我々は今その本隊に囲まらた状況なのですか!」



 急に席から立ち上がり、若者は声を上げる。

 隣の巨漢は腕を組み考え込む姿が伺える。



「あれが敵の本隊という考えはまず間違い無いでしょう」


「そんな・・・・」



 失望の念を禁じえない表情で固まる副団長は立ち尽くす。

 完全に自分達が死ぬ未来しか見えてない愚か者を俺は見るに耐えない。

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