第131,5話 エリオの責任とバーニーさんの性癖
近況報告で告知したとおり、今回は体調不良につき番外編のSSになります。
(とはいえ結構本編の延長っぽいですが)
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ギルドルムでの集団昏睡事件を解決し、目を覚ました人たちが元気を取り戻しつつあったある日。
「……エリオ……っ」
周辺の情報収集のためギルドルムに滞在を続けていた僕のもとへ、アリシアが少し慌てた様子でやってきた。
「バーニーさんが……大変なの……」
「え!?」
アリシアの言葉に僕は少し慌てる。
バーニーさんはギルドの受付嬢を務める兎獣人で、凶化系ユニークスキルの暴走によって集団昏睡事件を起こしてしまった人だ。
いまはギルドから支給してもらった希少アイテムでユニークスキルの暴走を抑えて制御の練習をしている最中なんだけど、ストレスが高まると微妙に能力が漏れ出してしまう。
なので、またなにかのきっかけで凶化スキルが制御不能にでもなったのだろうかと身構えたのだけど……続くアリシアの言葉に、僕は目が点になった。
「……バーニーさん、発情期がきちゃったって……」
「え」
*
「ええと、バーニーさん、その、大丈夫ですか……?」
アリシアに手を引かれ、僕はバーニーさんの自宅へとお邪魔していた。
そして恐る恐る寝室への扉を開いて声をかけたところ、
「……っ、この匂い……エリオさんの……う、うぅ……」
こんもりと膨らんだ寝室のベッドからなにかを我慢するような苦しそうな声が響く。かと思えば――朦朧としたような様子のバーニーさんがゆらりと這い出してきて、僕に抱きついてきた!?
「あ、あ、か、身体が勝手にぃ……見ないで……見ないでぇ……っ」
「……っ!」
バーニーさんはもうなんというか、すっかり出来上がっていた。
豊満な身体は風邪でも引いているかのように燃え上がり、汗ばんだ顔は真っ赤。
情熱的……と言うにはあまりにも蕩けた様子に僕が圧倒されていると、バーニーさんがうなされるように言う。
「ご、ごめんなさい、ごめんなさいぃ❤ は、発情期がこんなに強烈なものだったなんてぇ……❤ せっかくストレスが溜まらない感じになってたのに、こ、こんなの毎月我慢するなんて、絶対に無理ぃ……❤!」
目を潤ませて悲鳴じみた声を漏らすバーニーさん。
思った以上の有様に、僕はなんかもう面食らう。
(い、いやけどおかしいぞ。こうなってもいいようにあらかじめアレを渡しておいたはずなんだけど……)
とベッドの上に視線を巡らせたところ……分離した僕のアソコは見るも無惨な姿でぐったりしていた(多分バーニーさんのドレインスキルも微妙に発動しちゃった結果だろう)。
あ、これ分離したアレには荷が重すぎるや……。
そう僕が察すると同時。
バーニーさんの看病? をしていた狼人のソフィアさんとアリシアが言う。
「……わかります。苦しくて、とっても切ないですよね……発情期……」
「エリオ……責任を取ってあげないと……可愛そう」
「う、うぐ……」
ずいと迫ってくるアリシアたちに僕はもう腹をくくるしかなかった。
これはもう《主従契約》をして、この街を離れたあともバーニーさんを慰められるようにするしかない。
幸い《主従契約》は僕の意思で解除できるようになったから、リスクも少ないし。
とはいえ色々と申し訳ないのは確かなわけで。
「あの、ごめんなさいこんなことになっちゃって……お詫びにできることならなんでも言うことを聞くので……」
〈主従契約〉と〈現地妻〉について軽く説明しつつバーニーさんにそう言ったところ、
「な、なんでも……?」
バーニーさんがぽつりと呟いた。
「だったら私、その契約……お、お外で、してみたいですぅ……❤」
「……………………………………………え?」
前髪から覗く瞳を爛々と光らせながら、朦朧としたような様子でバーニーさんが断言した。
そうして――。
「うわあああっ! お外で半裸になるだけでもストレスが消えていくのに……こんなの心も身体もぴょんぴょんしちゃうううううっ!!」
「ちょっ、バーニーさんっ。こ、声をおさえて……! バレちゃいますから!」
月明かりが照らすギルドルムの街の物陰。
〈神聖騎士〉のアリシアが周辺探知スキルで人がこないか見張りをしてくれるなか。
バーニーさんは僕のうえでウサギのようにぴょんぴょん飛び跳ねて……僕が声をおさえるよう命令? することで無事に主従契約は完了するのだった。
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お待たせしてしまって申し訳ありません。次回から本編更新です。
※2021/10/14 描写を調整しました
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