第71話 食欲の強い女の子は性欲も強いらしいですね

「……仕方ない。もう面倒ですし……殺しちゃいましょうか」


 ダンジョンの奥底で出会った戦姫ソフィアが、ぼそりと呟いた。

 そしてその言葉が冗談でもなんでもないと言うように、2本の短刀を腰から引き抜く。


(な、なんなんだいきなり!?)


 戦姫ソフィアの暴挙に僕とアリシアもとっさに武器を構えて応戦の姿勢を取る。

 が……正直なところ、ここでソフィアさんと戦うのはできれば避けたかった。


 エリオ・スカーレット 14歳 ヒューマン 〈淫魔〉レベル255(前回から5up)

 所持スキル

 絶倫Lv10

 主従契約(Lvなし)

 男根形状変化Lv10

 男根形質変化Lv10

 男根分離Lv8

 異性特効(Lvなし)

 男根再生Lv8

 適正男根自動変化(Lvなし)

 現地妻(Lvなし)

 ヤリ部屋生成(Lv1)

 精神支配完全無効(Lvなし)

 ????


 アリシア・ブルーアイズ 14歳 ヒューマン 〈神聖騎士〉レベル70(前回から23up)

 所持スキル

 身体能力強化【極大】Lv8(前回から1up)

 剣戟強化【大】Lv8(前回から3up)

 周辺探知Lv10(前回から2up)

 ケアヒールLv4

 神聖堅守Lv4(前回から1up)

 魔神斬りLv2 

 自動回復付与Lv2(New)


 いまの僕たちは決して弱くはない。

 ここしばらく続けていたダンジョン攻略でアリシアのレベルもかなり上がっているし、純粋な剣技や連携も上達しているから、大抵の相手には負けない自信があった。

 加えて僕の最大武器、変幻自在の男根を振り回せば高レベルモンスターの大群だって怖くはなかった。


 けれど、


(こんなダンジョンの奥底にたった一人で……それもまったくの無傷で到達してるなんて尋常じゃない……!)


 2本の短刀を構えたソフィアさんを見て、僕は改めて戦慄する。

 動きやすさを重視したらしい露出度の高い軽装。

 そこには傷どころか汚れさえほとんどついておらず、彼女がモンスターに一発の攻撃もかすらせることなくここまで到達したことは明らかだった。

 身体に受けた傷ならポーションで回復できるけど、装備がまったく汚れていないというのはつまりそういうことだ。


 ここに到達するまでに、ソフィアさんもあの青龍と戦ったはず。

 男根剣を使った僕でも軽い火傷を負ったというのに、対してソフィアさんはまったくの無傷。僕やアリシアと違って〈現地妻〉でワープしダンジョン攻略を途中からスタートするというズルも使えないはずだから、ソフィアさんは地表からここまで一気に、完全な無傷で辿り着いたということになる。


 さらにソフィアさんはアリシアの〈周辺探知〉にも引っかからなかった。

〈ギフト〉の特性か、それともユニークスキルか。

 けどなにか気配を消すような技能を持っているのは間違いなく、得体の知れない強さを秘めているのは確実だ。


 こっちには〈異性特効〉もあるからそう簡単にやられるとは思えないけど……こんなわけのわからない状況で戦うのは得策とは思えない。

 こうなったら隙を見て〈現地妻〉を発動させて逃げるのがベストか……と、ソフィアさんの出方を窺っていたときだった。


「……来ないなら、こっちからいきますね」

「っ!」


 言って、ソフィアさんが本物の狼のように身をかがめて突撃態勢を取る――次の瞬間。



 グウウウウウウウウウウウウギュルウルルルルルルルルルウ!!



 ダンジョン内に、地鳴りのような低い音が響き渡った。

 え? なにこれ? と僕とアリシアが困惑していると……


「………………………………………………」


 両手を短刀を構え、野生の狼のような突撃態勢をとっていたソフィアさんが――人形のような表情のまま赤面していてた。

 

「「「……」」」


 気まずい空気が流れる。

 それから誰も言葉を発さない時間がしばらく続いたあと、僕は意を決して口を開く。


「あの……もしかしてお腹空いてます?」

「……空いてません」

 

 グギュルルルルルルルルルゴゴゴルルルルルルッ!


「空いてますよね?」

「……空いてません」


 グルルルルルルルルドピュゴゴゴゴゴゴゴッ!


 ソフィアさんは僕から目をそらしながら否定する。

 けど身体は正直なようで、さっきからソフィアさんのお腹からは凄まじい音が鳴り続けていた。そこで僕はヤリ部屋に手を突っ込み、


「お腹が空いてないならいいんですけど……よかったらそこのセーフエリアで一緒にこれ食べます?」


 異空間からできたてほやほやの具沢山スタミナシチュー(街でも有名な食事亭の看板メニュー)を大量に取り出した。その瞬間、


「……え」


 やっぱり身体は正直というやつだろうか。

 両手に武器を持ったままの姿勢で固まったソフィアさんの狼耳がピンと隆起し、腰から生えた尻尾がぶんぶんぶんぶん! と凄まじい勢いで揺れていた。


――――――――――――――――――――

ドラゴンタニシです。最近お気に入りのプレイは焦らしプレイです。よろしくお願いします。

(皆さんの期待するような展開はもう2,3話先になります、すみません!)



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