第7話 都会のセミと日常の謎

 私の推理はこうだ!

 この地下鉄は始発駅から終着駅まで地上に出る事はない。

 よって、地上を走る電車のように、停車中に偶然飛び込んで来ることはありえない。

 ましてや、地下四階にあたるホームまで自力で入り込めるとも思えない。

 一般的に考えるのであれば、地上のどこかで、誰かの背中などに留まり、そのまま一緒に乗り込んだのだろう。

 しかし、これでは不自然な点がある。

 そう、数が多いのだ。この車両だけでも少なくとも三匹。

 そして、向こうの網棚の上には……、そう! 少し潰れてはいるが虫篭だ!

 で、あるならば……。

 セミを捕まえた子供が地下鉄に乗り込む。が、何かの拍子に転んでしまい、大事に抱えていた虫篭を潰してしまった。そのためセミは逃げ出し、車内に散っていった。

 そして、既に三匹とも息絶えていることから、きっと昨日よりも前の出来事なのだろう。

 ふふっ、完璧だ! が、どうやら今日も、私は乗り過ごしたらしい……。

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