いつか必ず幸せになれる日が来る
どさまらすと
プロローグ
私の夢は幸せになること。
いつか誰かが私をこの現実から助け出してくれて、愛する人と永遠に幸せに暮らすの。
子供の頃から、変わった子だと言われていた。自分では、それがなぜだか分からない。
花や木が密かに囁いていることも、風に色があることも、雨がなぜ降る時どきによってその様を変えるのかも、みんなには分からない。全てのことに意味があり、それが理(ことわり)だということを、みんなは知らないみたい。
「嘘つきー。」
「愛梨の嘘つきー。」
「また始まったよ。愛梨の嘘。」
「そんなに嘘ばかりつく子は、うちの子じゃないからね!」
友達だけじゃない。両親からも、兄弟からも、私は嘘つきだった。
「うそじゃないよ。本当にお花にお水をあげたら、ありがとうって言ってくれるんだから。」
何度も何度も説明したけれど、周囲の人は誰も信じてくれなかった。
絵本には本当のことが書いてあることもよくあった。
毎日来てくれる男の子のことが大好きな木が、自分の枝や幹をくれたり、青虫が葉っぱを食べて大きくなる姿を一人称で描いていたり。
それを書いてる人は嘘つきって言われない。
だって、本当のことを書いているんだから。
でも、私は本当のことを言うのをやめた。
本当のことを言うと怒られたり、嘘つきだからと仲間はずれにされたりしたから。
こんな自分が嫌だった。本当のことを言うと嘘って言われて、風に抱かれて髪を揺らし、頬を撫でてくれるものから抗って生きていくことが辛かった。
でも、そんな現実はいきなり終わりを告げる。
私の手から、丸いシャボン玉が出せるようになってからは。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます