いつか必ず幸せになれる日が来る

どさまらすと

プロローグ

私の夢は幸せになること。


いつか誰かが私をこの現実から助け出してくれて、愛する人と永遠に幸せに暮らすの。






子供の頃から、変わった子だと言われていた。自分では、それがなぜだか分からない。


花や木が密かに囁いていることも、風に色があることも、雨がなぜ降る時どきによってその様を変えるのかも、みんなには分からない。全てのことに意味があり、それが理(ことわり)だということを、みんなは知らないみたい。



「嘘つきー。」

「愛梨の嘘つきー。」


「また始まったよ。愛梨の嘘。」

「そんなに嘘ばかりつく子は、うちの子じゃないからね!」


友達だけじゃない。両親からも、兄弟からも、私は嘘つきだった。


「うそじゃないよ。本当にお花にお水をあげたら、ありがとうって言ってくれるんだから。」


何度も何度も説明したけれど、周囲の人は誰も信じてくれなかった。


絵本には本当のことが書いてあることもよくあった。


毎日来てくれる男の子のことが大好きな木が、自分の枝や幹をくれたり、青虫が葉っぱを食べて大きくなる姿を一人称で描いていたり。


それを書いてる人は嘘つきって言われない。


だって、本当のことを書いているんだから。


でも、私は本当のことを言うのをやめた。

本当のことを言うと怒られたり、嘘つきだからと仲間はずれにされたりしたから。


こんな自分が嫌だった。本当のことを言うと嘘って言われて、風に抱かれて髪を揺らし、頬を撫でてくれるものから抗って生きていくことが辛かった。


でも、そんな現実はいきなり終わりを告げる。


私の手から、丸いシャボン玉が出せるようになってからは。




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