逆光

雨は静かな音を立て降っている

傘もささずに空を見上げる君は

振り向いて僕を見る

濡れた瞳で僕を見る


雪は静かに音もなく舞っている

もうすぐ春になるのに君の姿は

雪を纏って僕を見る

虚ろな瞳で僕を見る


空は晴れて音のない太陽の熱量

清々しい暖かな空気のなか君は

振り向いて僕を見た

影が君の瞳を隠した


君の髪を太陽が透かして

君の表情を見えなくする

君の後ろに見える太陽が

君の感情を隠してしまう


桜の花が咲く頃になれば

距離は縮まるのだろうか

桜の花が散る頃になれば

君の道だけが消え失せる


もう来なければいいのに

桜の季節なんて来ないで

君がいない世界が来たら

僕はもう一歩も動けない

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