第91話 検査
病院で検査をうけることになった。
時おり、強烈な眠気に襲われ、意識を失うように倒れる。
寝ている間、訳の分からないことを呟く、といった症状に悩まされ、
本格的な精密検査をうけようというのだ。
脳に腫瘍があるかもしれず、MRIを受ける。
頭からドーム型の検査装置に入っていく。
「はい、楽にして下さい。行きますよ」
医師は体を輪切りにするMRIの画像をみている。
「おい……、何だこれは? 生き物?」
「顔だ! 手もある。脚もみえるぞ!」
「首の方に下りて行ったぞ。体内を動くのか?」
「肺だ! 肺のところにいるぞ。あ、もっと下がった。腸の方に行った」
「こっちを振り返ったぞ。検査されていることが分かっているのか?」
「このまま下っていくと、足先までいくのか?」
「太ももで止まった……。こいつ、手を振ってやがる!」
「このままこっちをやり過ごす気か! くそー、自動運転だから止められない」
「あぁ、見えなくなった……」
ドーム型の装置が止まった。
「はい、これで検査は終了です。お疲れ様でした。何もありませんでしたよ」
医師はそういったが、私は先ほどまでの医師同士の会話が聞こえていたので、
卒倒して、意識を失っていた。
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