第69話 融かす

この国では、人が亡くなると火で焼く。


すなわち火葬によって弔うのが一般的だけれど、


それではCO2排出量が増えるとして、


体を融かして骨だけにする手法が開発された。


死んだらその液体に漬けて、骨になるのを待つのだ。


しかし最近、その仕事が増えた。


高齢化により、亡くなる人が増えたのかと思ったが、


どうやらそうではないらしい。


この制度をつくった、エコにうるさい政府がこう言った。


「人が生きていると、活動をしてCO2を出すから、


少し減らした方がいい」と。


だから生きた人もまとめて、骨にしている。


骨にして、国に送ると土に埋めてくれる。


そうればカルシウム分が供給され、植物がよく育つ。


これぞエコ、だから国に送ることを『融葬』という。

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