第10話 随筆。女性とモンスター

中世以後、西洋では女性のモンスターはでていない。


ドラキュラ、フランケンシュタイン等々、女性版の

それらのモンスターはいるけれど、オリジナルはすべて男性だ。


これは中世、大きな動きとして魔女狩りがあったため、とみられる。


魔女狩りは、とある司祭による女性は男性を惑わすもの、

という説に教会が踊らされた結果、どういうものを魔女と定義するか?

が何もないまま、怪しいというだけで女性を殺戮していった、

歴史上もっとも忌むべき犯罪ともいえる。


しかし一方で、そんな魔女がいて、すでに女性というキャラクターが

悪と捉えられていたため、モンスターに昇華することはなかった。


一方で、日本では女性が化け物となるケースが多い。


男性は鬼、もしくは祟り神など、特異なキャラクターを与えられて

モンスターとなるけれど、女性はそういった段階を踏まず、

四谷怪談のお岩さん、番町皿屋敷のお菊さん、牡丹灯籠のお露さんなど、

化け物というより幽霊といった形で、そのまま残された。


日本ではネコもそうであるけれど、恨み深いという印象が、

想いの強さの裏返しとして幽霊となるように思える。


ただ現代において、むしろ女性の方がさばさばして、男性の方が

引きずるケースも多いように、決して恋愛という面でいうと

女性の方が想いが強いわけではない。

むしろ江戸時代は、男系社会で圧倒的な力を男性がもっていたために、

女性はそれに付き従うイメージから、そうなったのだろう。


男女同権が謳われる現代、果たしてどちらのモンスターが多いのか?

考えてみるのもおもしろい。

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