百八の物語

四季年千空

第1話 ダイエット

髪が抜け、肌が荒れた。


頬がこけ、目の周りがくぼむ。


だいぶ痩せたけれど、不健康極まりない。


化粧だって、自分のやっていたものと違う。


手足も細くなり、肌の色もどす黒いものに変わり始めた。


生きていたころの面影なんて、もうない。


心臓は動いていない。体も動かせない。


でも、魂が肉体から抜けてない。私はまだ、ここにいる。


肉体にとどまっている。


そろそろ、火葬に回される……。


抵抗することもできず、このまま焼かれる。


火あぶり……。でも、抵抗できない。訴えることができない。


私はここにいるの! 魂が抜けていないの!


このまま焼かれたら、熱いの? 魂が抜けてくれるの?


気づいてよ! 私はここにいるのに……。


でも焼かれたら、骨だけになって、ガリガリになる。


それだけが楽しみ♡

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る