第50話しゅ・・・修羅場?!
さて。卒業式も終わったし卒業生達はホワイトデーで盛り上がっている。青春って感じで良いわねぇ。
勿論、友人との別れを惜しむ卒業式らしい感じも見られそこは日本と変わらないかなぁ。
と、しみじみしている場合では無いわ!
ジュリエットの事が気になる!!
後はケイトちゃんやジャスミンちゃん、ジェニファーちゃんの事も気になる!!
奥様と旦那様は先に帰られたし。
自由行動・・・開始よ!
ジュリエットはC組だった筈。
グレースちゃんの教室から少し離れたジュリエットのクラスへ向かった。
「どう言う事だ?!!」
「バレンタインにチョコレートを貰ったのは僕だ!!」
凄い剣幕の声が聞こえてきて思わずビクッとなって立ち止まった。
なになに何よ???
声のする方へ近寄ると人だかりが出来ていた。
3階の空き教室からの様だ。
「君達は嘘を付いている!ジュリエットからチョコレートを貰ったのは僕だから。」
さっきとまた違う声。
ジュリエット・・・って聞こえたわよ。
見えそうで見えなーい!
私も小さくは無いけれどこの男子生徒デカいわ!
バーゲンに群がるおばちゃんの様に生徒達の人だかりに割って入った。
1・2・3・4人!?
教室の中央あたりで4人の男子に囲まれて顔色を変えて狼狽えて居るのはジュリエットだ。
あーららら。この状況って!!
察した。
修羅場遭遇!!
全く、一体全体何人の男にチョコレート配りまくってるのよ?!
「ジュリエット?!僕が好きなんだよね?」
「いや、僕でしょう?」
男達に詰め寄られて答える事が出来ない様だ。
あっ。この人って生徒会長じゃない?!文化祭で見たわ!!そう隠しキャラよね!!!
「嘘?チョコばら撒きってまじだったんだ?」
「あの子ならやるでしょ?節操なしだし。」
「信じられなーい。」
後方からは女生徒のヒソヒソした笑い声が。
「うわぁ。ショック。俺は貰ってないし!」
「貰えなくて良かったんじゃないか?」
ザワザワと男の子達の呆れた声も聞こえた。
「えっ・・何で4人も居るの?僕、お返し持ってきたのに。」
ショックそうな声も。まだ居たのね。
ケイトちゃん達の婚約者3人、教室に居る4人、後ろの子?
まだ居そうね。
「ジュリエット!!」
教室に居る男子がジュリエットの両肩を掴んだ。
「あっ・・あの。その。」
ジュリエットの顔は引き攣り答えられないでいた。
お馬鹿な子。
こうなるって想像してなかったのかしら。
切羽詰まっていたのかしらね。
ざまぁみろ!!って思いたい現場なのだけれども。
あの母親がジュリエットをこんな子にさせたのよねー?ちょっと気の毒に思えてきちゃった。
「ちょっと失礼!お退きなさい。」
聞きなれた声がして振り返るとジェニファーちゃんだった。
それにケイトちゃん、ジャスミンちゃん。それに仲良く連れ立って婚約者達。
「ジェニファー様だわ。すみません。」
女の子も男の子もコソコソと教室の入り口を開けて譲る。
ジュリエットや中の男の子の視線も入り口に向いて驚いた顔をしていた。
「あら、アリスねーさん。ごめんなさいね。エドワードがきちんとお返事したいそうなの。」
ジェニファーちゃんはニッコリと微笑み(少し悪そうな微笑みに見えるけど)エドワード君は気まずそうに微笑んでペコっと頭を下げて中に入って行った。
「僕もきちんとお断りしに来たんだ。」
「ですって!ねーさん!」
ケイトちゃんとローガン君は何かラブラブ度がアップした雰囲気で中に入って行く。
「お断りするのも礼儀ですからね。失礼するよ?」
「うふふ。そうですわね。」
相変わらずクールな2人。レオ君とジャスミンちゃんも。
そうか。チョコレート貰ったらお断りするのも礼儀なのね。無視は確かに良くない。
何と言うか更に修羅場が悪化する気配。
「先ずは貴女も卒業おめでとう。」
ジェニファーちゃんがジュリエットに声をかけた。
「はい。卒業おめでとうございます。」
ジュリエットに家に押しかけた時の様な勢いは無く俯き呟く様にそう言って頭を下げた。
張り詰めた様な居た堪れない空気。
私を筆頭に静まる教室の入り口のギャラリー達。
ゴクッと唾を飲む音さえ聞こえてしまいそうだった。
「まあまあ、そんなに緊張しないで。今日はきちんとお返事をしようと思って来たんだよ。」
ローガン君が口を開いた。
「結論から言うとお断りします。僕はケイトと結婚するからね。」
ローガン君がそう言うとケイトちゃんは嬉しそうにローガン君の腕にしがみついた。
いつの間にこんなにイチャイチャに・・この数日間頑張ったのね。
レオ君は1歩前に出た。
「ジュリエットさん?こんなに沢山の男性に一斉にアプローチする女性を選ぶ人は居ないと思うよ。私は丁重にお断りさせていただきます。」
なかなか冷たい発言だ。
全く、チョコレート受け取った癖に・・と言いたい。でも、結果オーライよね。
「僕も勿論、お断りしに来ました。チョコレートを受け取ってしまったのは申し訳無かった。その場で受け取らないと言う選択肢もあったのに。傷付けてしまって悪かった。」
エドワード君が最後にお断りの返事をするとジュリエットは黙って俯いた。
空気は益々重い。
「・・・どう言うつもりなんだよ・・・・・・。」
生徒会長がボソッと呟いたかと思うとジュリエットの胸ぐら掴んでめちゃくちゃキレ始めた。
「君は!!!僕だけだって言ったじゃないか?!」
「グレースさんの裁判の件だって!泣いて頼んで来たよね?頼りにしてるって甘えて来たよね?」
「文化祭のコンテストも!!!」
手が付けられないくらいの取り乱しとキレっぷりに中の子達はオロオロするばかり。
普段、強気の悪役令嬢達もこんな時頼りない。
ヤバそう・・。
ダメだわ。私、こう言うのほっとけないのよぉ!
お節介心が発動してしまった。
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