悪役令嬢の専属メイクさんになったアリスねーさんの話

第14話乙女は悩む

晩御飯はコンビニで済ませた。

ペラペラと他の友達にこの事話しても良いんだけど。

だけどなあ。

やっぱり1人で考える。

ゲームを起動してみた。

殆ど進めて無かったストーリーを進める。

ゲームは言葉の選択肢選びや行動の選択肢選び。

現実ってこうは行かないわよねぇ。

解っていてもこんなセリフ言わないわ。

「それを言ってるのがジュリエットか・・・。だからモテる。」

ジュリエットがあの学校でモテるのは当然だ。主人公なんだから。

「それにしても本当にグレースちゃん粘る子ね。そして見事ないじめっ子だわ。」

それだけ好きって事か。

簡単にアンディー君と別れなさいって言っちゃったけど本当に好きなんだろうなあ。

私が戻らなかったらグレースちゃんはまた裁判になるかもしれない。

ゲームを進めるアイテム切れたので終了して攻略サイトを閲覧する事にした。

アンディー君。

フルネームはアンディー・ローラン。

家は元公爵家で今は地主、不動産業か。

グレースちゃんも家柄が同じなのね。

ベイリー家のご主人も不動産業か。

完全なる政略結婚。

そうかあ。親同士にとってめちゃくちゃメリットしかないのね。

攻略対象者には一言で言い表す様なコメントが書いてあった。

例えばローガン君は『優しい君に沢山甘えたいな。』

なるほど甘ったれ坊ちゃんか。オネエさんが甘えさせさてあげたいわぁ。

レオ君『家を継ぐ？それが僕の幸せなのかな？』

親の敷いたレールを脱線したい年頃ね。悩みを聞いてくれるタイプにコロッと落ちそう。

アンディー君は・・・。『恋って何？誰かを本気で好きになりたい。』

あー。あーそうなのか。ちょっと頭を抱えてしまった。

グレースちゃんには恋して無いと言っている様なものだ。

既に裁判が起きたと言う事はアンディー君は結構、ジュリエットが好きって事だ。

しかし、私の出現で裁判の結果が変わってしまった。

まだチャンスはあるのかしら。

「あー！もー！解らない！！」

悩み過ぎて疲れた。ベッドに突っ伏してまた考える。

私の手でグレースちゃんを救えるのかしら？

二度と帰って来られ無くなったらどうしよう？

どーしよー。

此処でグレースちゃんを見捨てるのも引きずってしまいそうだし帰れなくなっても後悔しそう。

私は悩みまくりでゴロゴロしながらいつの間にか眠ってしまっていた。

一夜明けての私の気持ちはスッキリきていた。

やっぱりグレースちゃんの元へ行こう。

引き受けたからには全力で美しくモテる女にしてやりたい。

最初にそう決意したじゃないの。

初志貫徹！！

もしかしたら戻れるかもしれないし！

ミミちゃんには「行ってきます。やっぱり頑張りたい！」

そうメールして家を出る。

「あっ。忘れてた。仕事のお守り。」

もうドジね。これがあると不思議と仕事が成功する。

子供の頃から持ってるネックレス。デザインは子供っぽいけどずっと身に付けている。

多分、初恋の男の子から貰ったのよねぇ。

名前忘れちゃった。イケメンになりそうな子だった・・・。

それは置いといて。

豪邸町に行ってみよう。私だけなら行けるのか。

確かめないと。

「豪邸町の豪邸公園まで。」

タクシーを拾って乗った。

運転手さんは愛想の良いおじさん。

何時もの街並みを眺めながら。

今度は・・・行ける様な気がした。