第68話

「ぶー。ぴょん太、いじわりゅでしゅ」


 僕は不満を口にします。

だってお外は目の前です。なのにダメってひどいと思います。


『いいですか、ユーリ様。今は秘密の探検中なので見つかったら終わりなんです。

 そんな状況で、バルコニーのドアを何の準備もなく開けるのは、大変危険なのです』

「ふぉっ! たいへんきけんっ……!」

『そうです。なので今からその大変危険なリスクを減らす作業をしますので、それが終わるまではドアを開けずにお待ち下さい』

「分かりまちた!」


 簡単にお外は出られないようです。

でも、ぴょん太が大変危険をなくしてくれるようなので、大人しく待ってます。

僕、ちゃんと待つ事出来るのですよ!


 じー……。


 ぴょん太がなんか、なむなむ言ってます。


 じー……。


 まだまだなむなむ言ってます。


 じー……。


『いや、あの、ユーリ様。そんなにずっと見つめられると、すごくやりにくいのですが……』

「僕、おとなちくちてるだけでしゅ」

『え、まぁ、そうなんですけど……』

「早くなみゅなみゅすゆでしゅ」

『あ、はい……。すごくやり辛い……』

「ぴょん太」

『……はい』


 ぴょん太は、はふーって息を吐いてからまた、なむなむ作業に戻りました。

あのなむなむってなんなのでしょうか?

何かよく分かりませんが、ちょっとカッコよく見えます。

僕もなむなむしてみましょうか?

 キリッ!としたお顔で、お手手を合わせてなむなむなむ……。

どうでしょう?カッコいいでしょうか?

今度、エリーナの前でやってみる事にします。


 僕がそんな事を考えている間にも、ぴょん太のなむなむはまだ続いていました。

 むう……。

なむなむは結構長いのですね。

エリーナの前でやる時は、短めにしようと思います。だってエリーナは、すぐ飽きちゃう気がしますからね。

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