おいほー

石やーやややー

おいほー

ピョー


昼下がり、団地に響く

奇怪音


聞き取れるのは、石、そればかり

奇妙な笛の音は

粘つくように後を引く


窓を開けると向かいの奥さんが

何かに操られるかのように

玄関から躍り出た


その目はギラつき

異音の方へ脚を引きずっていく


一時の静寂が張り詰める

忘れろ、ただの幻聴だ

そう自分に言い聞かせる


忘れろ、忘れろ、今すぐに

あれはただの幻聴だ

ならなんでこんなに震えがくるんだろう


窓を閉めようとした、折も折

またあの音が鳴り響く


石やーやややー

おいほー

ピョー

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