蓮の葉

淡水魚と珊瑚礁の恋の唄

その中でたゆたう

蓮の葉は

彩り豊かでなければいけない


特に綺麗でもない池に

浮かぶ蓮の葉が

吐息混じりに

語るのは

海への憧れと

どうしようもない

充実感


渡り鳥の語る

旅の話が大好きで

夜な夜な訪れる夢の中では

ただ単身で海を漂う

たゆたいながら

歌うのは、いつか聞いた

恋の唄


思い出すのは

鼓動と羨望と

それだけでは

なかったはずという

心許ない確信と


淡水魚と珊瑚礁の恋の唄

その中でたゆたう

蓮の葉は

彩り豊かでなければいけない


こんなに青い空の下

星が輝くの何故だろう

より不思議なのは

どちらも美しいということ

お互いに引き立て合う

星と空色

白昼夢の中では

唄はまことでなければいけない


太陽と月が

同時に昇る

ならばどちらも東のはずで

やがて二つの天体は

天上で交わるだろう

訪れるのは月蝕か日蝕か

禁断の恋など元よりなくて

恋はかすみの向こうの禁忌事


恋の受け皿が見る夢は

夜明けと共に消え

残るのは朝露と

微かな磯の残り香

夜見る夢の中では

唄は嘘でなければいけない


淡水魚と珊瑚礁の恋の唄

その中でたゆたう

蓮の葉は

彩り豊かでなければいけない

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