縮小と無限

プラネタリウムの真（ま）っ只中（ただなか）で

万華鏡（まんげきょう）をのぞくのは

なんだか少しコケティッシュ


いけない秘密（ひみつ）の予感にうずいて

流れ星も、夏から冬への時間旅行も

心を静めるにはぜんぜん足りない


偽物（にせもの）の空の下

鏡（かがみ）のなかは

鈍（にぶ）く

幾何学的（きかがくてき）に

時が過（す）ぎる


のぞき目は

暗闇にもかかわらず

爛々（らんらん）とぎらついている


手持ち無沙汰（ぶさた）の片割れは

いじけるように閉じられて

まぶたの奥の瞳孔（どうこう）は

おそらく虚（うつ）ろに開（ひら）かれている


いけない秘密はどちらがお好き？

七色（なないろ）めぐる明星（みょうじょう）か

緩（ゆる）みきった一番星か


こんなにも星にあふれた世界のなかで

いちばんの星を見つけるなんてできるのかな？


向こうの席の二つ星

暗いドームにちらばる

瞳（ひとみ）のようなお星さま


星占（ほしうらな）いはでたらめで

流れる星は恣意的（しいてき）で

方位だってお手の物

曙（あけぼの）や日没（にちぼつ）も手動の世界

こんなに確かな世界のなかじゃ

壊（こわ）れたレーザーポインターだけが宝物（たからもの）

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