超ハイスペックPC

ほとんど死にかけたような老人の

こわれかけた軽トラに追いたてられる、

新品のスポーツカーに乗る

若者の胸のうちにひそむ、

そのなやましさ。


かわいて壊れかけたエンジンは

物欲しげに鳴っている。


老人は、死んで恋しい

親の代わりに

子を育て、孫をでた。

若者は、死んでむなしい

親の代わりに

絵をいて、それにすがった。


超ハイスペックPCでえがかれた、かぎりなくリアルな死んだ親の顔。

画素数がそすうせば増すほどに、

生きているとしきや思えなくなるのに、

そこにたましい宿やどらない。


目許めもとはこんなにもしたしげで、

口許くちもとに浮かぶ微笑びしょうはこんなにも柔らかなのに、

そこに魂は宿らない。


どうしたらそこに魂が?


どれだけのPCをつな

画素数を増したなら


天文学的てんもんがくてきな数を

重ねたところで


おそらくきっと、現れるのは、


いきいきとした死者の顔。

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