ちくちく詩集

倉井さとり

夕暮れに

夕暮れに染まるあの山に

いくら悲しさを重ねても

悲しさは変わらず透明とうめいんでいる


季節がめぐり、山が何色に染まろうと

渡り鳥にたくしても、山合やまあいに沈めても


あんなに喜ばしかった出来事も

誰かのはげましも、優しさも

悲しみに触れることはなかった

悲しさは変わらず透明に澄んでいる


それが消えたのは、別の悲しさがおとずれた時だった

何故だろう、次なる悲しさは、ちっぽけなものだったのに


夕暮れに染まるあの山に

ちっぽけな悲しみを重ねたら

どうしてか、ほほに涙がつたってた

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