第8話
−−−いつからだろう。両親がかまってくれなくなったのは。いつからだろう。兄の才能が開花し俺と差をつけ出したのは。いつからだろう。彼女を想うと胸が痛くなったのは−−−
俺は親の声で目が覚めた。今日は土曜日で休みなのに今は朝の6時。最悪だ…。と目を擦りリビングへ向かう。そこには父、母、兄。全員揃っていた。なんなの家族会議とか初耳なんですけど…と面倒くさそうに席につくと父親はバッと勢いよく立ち上がり、「今日は遊園地に行くぞォオオオオ!!」と言うと俺以外の全員が「オオオオオ!」と一致団結していた。遊園地には一度も行ったことがなく正直気にはなっているのだが友達がいない俺は諦めるしかなかった場所だ。でも俺もう高校生なんだよなぁ。家族で遊園地とか恥ずかしいんだよなぁ。ていうか兄貴ノリノリ過ぎだろ。大人とは思えねぇ…。と冷静ぶっていたが俺は遊園地へ行く準備に取り掛かっていた。リビングに再び行くと全員の姿はなく、先に車に乗っているのかと玄関を出た。そこにあったのはいかついジープ。俺好みだ。「いつ買ったんだ」と聞くと声をかぶせるように「この車は好きか!?」と言われた。俺は見た目は好きだがこの車をなんだか心の底から嫌悪している。そんな感覚がありつつも「かっこいいとは思う」と無難な返事をした。父は「そうか!じゃあ出発だ!」と遊園地へと向かった。道中、兄は難しい話を延々とし続け両親はわかってなさそうだが心底嬉しそうに話を聞いていた。俺はなんだかすごく居心地が良くて眠ってしまった。目が覚めると「到着だ!」と父が叫んでいる。相変わらずいちいちうるせぇ。俺たちが着いたのはウニバーサルスタジオジャパン。通称USJだ。俺たちはそこで多くの、おそらく一生モノの思い出を作った。数時間と並ぶのは辛かったが、それすらも良い思い出の一つ。そう感じるほどだった。その後家族みんなであの気色の悪いジープに乗り家に帰った。いつの間にか兄はいなくなっており、リビングの机の上にメモが残されていた。「 へ。今日は楽しかったな。いつもは研究ばかりで忙しいから本当に楽しかった。ところで 。本は好きか?俺の部屋にいっぱい置いてあるから読んでも良いぜ。天才兄、海斗より。」俺の名前のところなんか消えかかってて読めねぇ…まぁ良いや。これで東条と話すきっかけが増えるならと部屋に行くとそこには大量の。
「ラノベじゃねぇええええか!!!」俺はため息をついて部屋から出ていこうとするととある資料が目に入った。なんだこれ。海空プロジェクト…?海空って確か高校の名前も…まぁ偶然か何かだろうと部屋を出た。
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