異世界行ったら従者が最強すぎて無双できない。

カザミドリ

プロローグ

「………終わった」


 今貯金を全て宝くじにつぎ込み、見事に全部ハズレ崩れ落ちる男が一人。

 俺、坂本 拓斗(さかもと たくと)28歳 無職


「無理だ、死んだ、明日からどうすれば……」


 突然バイトをクビになり、自棄を起こして全財産を宝くじにオール・インした今、道は絶たれお先真っ暗。


「……こうなったら仕方がない……」


 残された道はただ一つ。


「そうだ!異世界に行こう!!」


  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

「え~っとなになに?」


 家に帰りさっそく異世界への行き方をネットで調べる。

 その中でも特に目を引いた物を試してみる。


「真っ白な紙に、魔方陣を書き、その中心に『入』を書く、それを握りしめながら寝る」


 ……果たしてこんな事で本当に異世界に行けるのだろうか?でもトラックに突っ込むのも嫌だし。


「えーい、南無三!」


 ダメで元々、試しに寝てみる、どうか異世界に行けますように!


  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 眠りについてしばらく、不思議な浮遊感に苛まれ目を開ける。


「う、うわぁ!何だ!?」


〈やあ、やあ、よく来たね?ようこそ次元の狭間へ〉


「…………」


〈おーい、大丈夫かい?〉


「#%&*@↑←→↑↓|〓!?」

 目の前には神様らしき人物が一人。

 試したら本当に出来ちゃいました。


  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

〈落ち着いたかい?〉


「は、はい、すいません」


〈君たち人間はどうして自分でした事に驚くのかな?〉


「いえ、実際に来れるとは、思わず……」


〈ハァ、まぁ良いや、それでどうするんだい?異世界に行く?まだ戻れるけど?〉


「そ、その前に一つ、神様ですか?」


〈うん、まぁそんなような所かな、僕はこの次元の狭間の管理者、世界線を越える者を見極めるために居るんだよ〉


「へぇ、一見ただの小学生にしか見えませんが……」


〈あぁ、君にはそう見えてるんだね?人によって違うんだよ、老人だったり、美少女だったり〉


「美少女が良かったです」


〈ははは、素直だね、それで、異世界に行くのかい〉


「はい!是非に!」


〈……ハァ、困るんだよね、最近異世界に行きたい人が増えて、皆そんなに行きたいのかなぁ?〉


「えっと、すいません……」


〈まぁ、良いんだけどさ、じゃあ手続きに入るよ〉


「は、はいお願いします」


 若干怒られたが、異世界に行けるようだ。


〈えっと、坂本拓斗さん 28歳ね、まだ若いけど本当にいいの?〉


「は、はい」


〈あっちにはゲームも、テレビも、漫画も無いよ?〉


「は、はい……」


〈だいたい異世界に行きたいって言うのって皆若い人なんだよね~〉


「は、はぁ……」


〈この間なんて、異世界に行きたいからトラックにわざと跳ねられた人が居たんだよ!?跳ねちゃった人の迷惑も考えてほしいよね!?〉


「そ、そうですね……」


 自分もやろうとしたなんて口が裂けても言えない。


〈で、君も異世界で勇者がしたいって人?〉


「いえ、できれば、冒険者みたいな事がしたいです」


〈うーん、じゃあもう既に勇者が居る所でいっか〉


「勇者って結構需要あるんですか?」


〈うん、あるよ!今勇者が必要な世界が三つだね、まぁ勇者を送ってもダメな時があるんだけどね?勇者の人間性的に………〉


「えー……」


〈まぁ、その時はよろしくね?〉


「えー……」


 どうか勇者がまともでありますように!!


〈じゃあ次はギフトだね〉


「ギフト貰えるんですか?」


〈うん、何も授けないで送ると直ぐにみんな死んじゃうからね、ギフトなんだけど残りの幸運値で決まるから〉


「幸運値?」


〈そう、要するにこれから得られる筈だった幸せかな〉


「へぇ~」


〈うーんと、うわぁ、何これ、結婚しないと幸せになれない設定になってるよ〉


「え?」


〈君、今まで幸せな出来事少なかったんじゃない?〉


 言われてみれば、彼女いない歴=年齢だし、大学は行っても三流、就職は出来たけど三年で倒産、それ以来派遣とバイトをふらふら、どちらかと言えば不幸に傾くかな?


〈本来であれば、一生を通して平均的に幸運と不運があるんだけど、君は幸運が結婚後に傾いているんだよ〉


「それって、大丈夫なんですか?」


〈いや、そもそもこの状態じゃあ結婚できないし、設定担当のミスかな?〉


 神様に担当とかあるんだ。


〈うーん、でも今はどうする事もできないし……〉


「あの、なら、ギフトをちょっとだけ良いものしてもらいたいなぁ、なんて?」


〈それでいいのかい?それなら出来るけど〉


「はい、お願いします!出来れば強いステータスと一人じゃあ不安なんで、強い使い魔か下部的な者が居ると助かります!」


〈ふむ、ふむ、それくらいならお安いご用だよ!〉


「ありがとうございます!神様!」


〈さて、では、良い異世界ライフを!!〉


 神様がそう言うと浮遊感が大きくなり、身体が薄れていく、いよいよ異世界に行くらしい、今度こそ人並みの幸せを手にして見せる。


こうして、俺の異世界物語が始まるのであった!

目指せ無双異世界ライフ!!

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