9.

「おねえたーん! リカ、ぶらんこのりたいの!」



お勉強の時間が終わり、今は自由時間である。親がいないからみんな思いっきり騒ぐことの出来る時間だ。勉強といっても、読み書きの練習だけでは無い。何故か九九を覚えさせられているのだ。前から練習していたし、私は前世の記憶があるのでテストには余裕で合格した。ほとんどの子が6の段以降が言えず、脱落していた。5の段まで言える時点ですごいと思うけどね。そんななかシオンはふつうに合格してた。天才こわい。モモちゃんは7の段意外は合格していた。7の段言いにくいよね、わかるよ。今日着たばかりのシオンが合格したということは前迄レベルの高い保育園にいたということなのだろうか。さすがHEROである。



「おねえたんぼくも」



「じゃあ、ぶらんこまでいこっか」



シオンは私たちと一緒に歩いている。もしかして、1日時一緒にいるつもり? モモちゃんを見つけ口パク出『たすけて』と言えばモモちゃんにニッコリと可愛い笑顔を帰されただけだった。裏切りものおお! この日とモモちゃんの従姉妹なんでしょ!?



「おい、リオ!」



ぶすと言わなくなっただけ成長したのだろうか。年下の子にこんな呼ばれ方するなんて思ってもみなかったけど。



「マサトくん、どうしたの?」



「ねえ、リオこのこだあれ?」



シオンが、後から私を抱きしめながら言った。まぁ、背が近いからお腹に手を回しているだけなんだけどね。



「モモちゃんのおとうとのマサトくんだよ。あってないの?」



「モモにしかあってないよ。たぶんおひるねだったのかな。」



モモ、と呼び捨てしたことばについ反応してしまった。従兄弟なんだから、それくらいは普通だよね。それでも、私だけ、と思っていた自分がいる。コレじゃ嫉妬してるみたいだ……。



「リオ、おれもぶらんこ!」



「いっしょにいこっか。」



「うん!」



素直で今日は可愛いなあ。いや、元から可愛いんだけどね。久しぶりにマサトくんの笑顔を見た。いつも私にキレてたからね。まぁ、フラグが折れてるならいいに越したことはない。双子とマサトくんはブランコまで競走してるようだ。



「リオ、ちがったらごめんね。やきもちやいた?」



ぎくっ。なんでバレてるの? 私、顔に出やすいのかなあ。嘘をついても何も変わらないのでコクンと頷く。それをみたシオンは、はぁと大きなため息をつく。い、嫌だったよね、私にヤキモチ妬かれるなんて。5歳児に迷惑をかけてしまった。



「リオがかわいすぎてぼくしんじゃいそう。だれかにとられたらいきていけない。」



それは大袈裟な気が……。でも、私もシオンをヒロインに取られたら死にたくなるかもしれない。それくらい依存してしまっている。



「リオね、シオンがすきだから……リオもシオンをだれにもとられたくない。」



ヒロインが登場して、シオンが取られることになったとしても私はシオンを愛し続けると思う。シオン以上に好きな人なんてできない。だって、大好きだから。



「うれしい! そうおもってるのぼくだけだとおもってた。ぼくたちぜったいけっこんしよーね?」



すぐには返事出来なかったがちいさくうん、と返事をした。この幸せがずっと続くことを祈っている。



私達はブランコへ駆けだした。

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