26.


「かなちゃん、おっはよー!」


あかりと2人で登校するのも慣れてきた。トップ4のファンたちに文句言われることも少なくなってきたし、安心して学校へ通うことができる。


「あ、かな!!……とあかり。」


「おはよう、しゅん」


「私はついでなのー!?」


しゅんはからかって遊んでるだけだから気にしたら負けだよ。……もう負けてるか。


「車乗ってく? あ、こら。」


車の中から白い生き物……


「トイプードル! 可愛い……。」


「かなって犬好きだったんだね」


車に乗せてもらい犬を撫でながら話を聞く。っていってもほぼ聞き流していると言っても過言ではない。この子の可愛さが罪だ。


「うん! 可愛いからね。私も犬飼いたかったんだけどお父さんが犬アレルギーで。」


ふーんとつぶやくと考える素振りを見せる。なんか嫌な予感が……。


「家くる? 犬3匹飼ってるんだけどかなも気にいると思うよ?」


「行きたい!」


犬には勝てないよ。悪口を言われても仕方ない。犬のためだ。


「掃除は?」


「あ、多分教室掃除だ。ごめんごみ捨て当たってると思うから待たせちゃうかも。」


「大丈夫、用事あるから教室で待ってて。」


わかった。楽しみだなあ。あれ、いつもこういうときうるさいあかりが何故か大人しい。隣を見るとあかりは爆睡していた。珍しい。昨日夜更かししたのかな。私は昨日疲れて9時くらいに寝ちゃったんだよね。杏ちゃんと遊び疲れたんだ。


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


「どうしたの? あ、ほかの人間邪魔だよね、分かる。」


「ねぇ、なんで毎日休み時間れんがうちのクラスにくるの?」


「そこ俺の席なんだけど!?」


しゅんが話しかけているのにもかかわらず無視して話を続けるれん。


「ちょっとあなた、水瀬様が話しかけているのに無視とは何様ですの?」


この子は多分れいな2弾の子だ。れいなが悪役令嬢じゃなくなったから代わりの子が出てきたのかもしれない。しかも最近こういう女子が増えてきている。そういうお年頃?


「何様って神宮寺様だけど? 俺に話しかけんないでブス。」


「じ、神宮寺ってまさか……。も、申し訳ございませんでした!」


最初は怒りで真っ赤だった顔は名前を聞いた途端真っ青になった。少し涙目になり教室から急いで出ていった。それにしてもれんは言い過ぎだ。あの子全然ブスじゃないしもし本当にそう思ったとしても言うべきではないことは誰でもわかる。


「れん、女子にブスなんて言ったらダメだよ。しかもさっきの子可愛かったし。」


「……? かな以外の女子はみんなブスだよ?」


手遅れだ。

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