資金力を活かして魔王討伐の準備をする②
道具屋での買い物を終え、武器屋に到着するとなぜかカーミアの姿があった。ご機嫌に鼻歌を口ずさみながら肩を左右に揺らしてふんふんと小柄な身体を揺らしている。
「お! やっときた! 待ってたよぉー!」
「カーミア、どこ行ってたんだ? 一応パーティに入っているんだから、ちゃんとどこにいるかは報告をだな……」
「えー、そんなカチカチなこと言わないでよぉ」
カチカチってなんのことだよ……あ、お堅いこと言わないでよってことか。わざわざそんな言い回しをするのが意味不明だ。
「なんかカーミアの肌がツヤツヤしているような気がするんだけど?」
「それはね! イケメンに囲まれてさいこぉーな時を過ごし……うそうそ! そんなの気のせいだって!」
「言葉に出てるぞ?」
色欲魔のカーミアのことだ、早速手に入れた宝石(ガラス玉)を使ってイケメンと文字通りの意味で絡みまくったんだろう。
「なんで先に武器屋に来てたんだ?」
「えへへ、ボクにも新しい武器を買ってくれるんじゃないかと思って。おねだりです!」
「分かった、分かった。買ってやるけどまずは俺の武器を探してからな」
「ケータくん、装備できる武器あるの?」
「どういう意味だ?」
「レベルによって装備できない武器もあるからさ、ケータくんのレベルはいくつなの?」
「レベル1だ……」
「えぇ! ヤバイな〜!」
「そういう、お前のレベルはいくつなんだよ!」
「ボクのレベルは35だよ! 凄いでしょぉ!」
なるほど、ヴィオラのレベルが37だったからそれに及ばないもののかなりの高レベルということか。さすがSランクパーティのリーダーといったところだろう。
「詳細はそこの妖精さんに聞いてみなよ。見たところ高級ランクの妖精さんだし色々と分かるんじゃない?」
「アノに聞けば分かるのか? よし、じゃあいまのステータスを確認してくれ」
アノは自分が背負っている鞄の中でダラダラと過ごしていたようだ。さっきまで寝ていたのか眠そうな目を擦りながら、だるそうに姿を現した。
「早速、こき使うな〜、まぁ世界を救ってくださるのなら、雑用の一つや一つお安い御用ですけど」
妖精のアノは、はいどうぞと言ってから自分達の眼前に色つきガラスのようなプレートを出現させた。RPGでいうメニューウィンドウのようなイメージだろうか。白い文字が浮き上がっている。
「どれどれ?」
ケータ(俺)
レベル:1
HP:11
MP:0
スキル:なし
アビリティ:なし
職業:なし
所持金:99999999999$(カンスト)
所属パーティ:
マーブル(Cランク)
→グランシルバイージス(Sランク)
ヴィオラ
レベル:37
HP:1735
MP:558
スキル:疾風オート付与(戦闘開始時に味方の通常攻撃に疾風属性を付与可能)
取得技:疾風属性を中心とした攻撃魔法多数
職業:賢者(ランク黄金)
所属パーティ:
キス・オブ・ドラゴン(Sランク)
→マーブル(Cランク)
→グランシルバイージス(Sランク)
カーミア
レベル:35
HP:1371
MP:575
スキル:ミネルヴァガード(一定未満のダメージを味方全体に通さない)
取得技:光属性を中心とした回復補助魔法多数
職業:司祭(ランク白銀)
所属パーティ:
グランシルバイージス(Sランク)
なるほど……。金でかき集めたメンバーだが
、こうしてみるとかなり強力なパーティのような気がする。
自分のレベルが1なのはまだいいとして、職業が「なし」となっているのが若干気になった。事実ではあるのだけど……。
「とりあえず、装備できる武器があるか一通り試してみるか!」
俺は店員に声をかけ、値段が高い武器から順に持ってきてもらうことにした。
『巨匠アクベスの剣』
→装備できません!
『銀のレイピア』
→装備できません!
『鋼の剣』
→装備できません!
『上級兵士用鉄の剣』
→装備できません!
『下級兵士用銅の剣』
→装備できません!
「おいおいおい! おーい! なんだこりゃ! なんにも装備できないじゃないか!」
さすがレベル1。腕力が足りないからか、ろくに装備できる武器もないとは。唯一ヒノキの棒だけは装備できるようだが、こんなの持っていてもなんにもならないだろう。
「仕方ない……武器は諦めてこうするか」
「ケータくん、なにするの?」
俺は武器屋に展示されている服を手に取った。
「これを……こうするのだ」
「それって、スラナー製の薄布服だね? 魔法と直接攻撃を何割か軽減するっていう、それを着るの?」
「ふふ……こうだ!」
俺は大量購入した薄布服を何重にも何重にも、着膨れするほど着込みだした。
「な、なにしてるの?」
カーミアが目を丸くしている。
「たくさん、着れば着るほど敵の攻撃から身を守れるかもしれない。だから念のために6枚は重ね着しようと思ってな! 戦えないなら俺はとにかく身を守る!」
「あ、呆れた……」
ため息をつくカーミアだったが、俺の心は自信に満ち溢れていた。
これから最初の魔王と戦うのだ。石橋を叩いて渡るくらいがちょうどいいと思う。違うか?
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