緊急八大主町会議へ【後編】
本当に?
いや、ここでそれを隠してもいい事などないしな?
正式な
公式の場であり、非公開のこの場で『神託』が『神託』がない事を隠しても、誰も得をしない。
『虚偽看破』の魔法を使えればいいんだが、師匠とイヅル様しか使えないだろうな、あんな特殊魔法。
そのイヅル様も困惑している表情だから、やはり『神殿』は
それを信じる事にしよう。
「ふむ。なぜ人間たちに『神託』を与えていないのかは、ここで話し合っても分からない。直前に与えられる可能性もあるが、
「そ、そんな……」
「イヅル様でも、止める事は叶わないのですか」
「ワタシでは無理です。魔力生成は地核で行われている。そしてそれはワタシの処理能力を、すでに超えているのです。……龍脈を使い、出来る限り分散していますが……すでに供給過多になりつつある。勇者殿が魔王との戦いのために消費するとも思いましたが、ステルスはすでに玉座にはいない」
「な、なんですと!」
イヅル様は魔王の事をやんわり流しつつ、話を
人は『神託』がなくとも、生き延びるためにやるべき事がたくさんある。
一つ、八つの町の大型結界石をここ、
八つの町の大型結界石と、元々この
十個分の大型結界が合わさる事で、相乗効果が生まれ、
その結界の中なら、
そこまで聞いて、レティシア女史やアマード氏以外の町長は顔つきが変わった。
おそらく
古の天災。
その程度の認識だったのかもしれない。
でも、それによりなにが起きるのか。
そうしなければ生き延びられないかもしれない、と聞けば……我が身に降りかかる事でもある……もはや他人事ではなくなる。
それ以外の方法がないのならやるしかない。
「年単位での引っ越しになるぞ」
「
「食糧はどうする? まずは
「そもそもすべての町の人々を呼び寄せるのだ、土地をどう分割するのか先に決めるべきではない?」
「移動の経費をどうする? 土地を離れる事を、納得しない民が出たら?」
「それは各々で解決すべきでは?」
「水は? 井戸を掘らなければいけないのではないか?」
うーん、どんどん具体的な話し合いになってきているな。
セレーナに眴すると、頷かれる。
「愛夏様、私とライズはここで失礼します」
「え?」
「後ほどサポートするよう仰せ使っている者たちを合流させます。その者たちと、まずはレベルを上げてください。……すでに魔王の脅威はないのですが、その部下たちが怪しい動きをしています。愛夏様には、その者たちを討伐して頂きたいのです」
「……ふ、二人は……どうするんですか?」
不安げな表情。
ずっと色々話していた同性のセレーナがいなくなるのは、きっと不安なのだろうな。
だが、出来ればロニたちに彼らの心や自信を挽回するチャンスを与えてあげて欲しい。
「私たちは『ファイシドのアルゴッド』へ向かいます。まだ
「あ、あの、私が呼ばれたのは、その
「いいえ、なぜ
「そんな……」
……確かに……。
神はなぜ
それを、勇者に止めさせようとしているのだろうか?
しかし聖剣が与えられた時の『神託』は『与えた聖剣を用いて魔王を倒す事。それにより世界は救われる』と……。
ステルスをうっかり俺とセレーナが倒したから、おかしくなったままになってしまったのだろうか?
しかし、ダーダンという不安要素が残っているのは事実。
出来れば勇者殿にはダーダンを倒して欲しい。
セレーナ曰く、そいつが『真のラスボス』。
「大丈夫、神に選ばれた勇者である愛夏様ならきっと真の敵を見つけ、倒す事が出来ますわ。私とライズも役目を終えたら必ずお力添えに参上致します」
「ほ、ほんとうですか?」
「はい、我らの師にも、勇者殿を見てやってくれと頼まれていますし」
正確には『勇者足り得る者かを見定めてこい』だが。
まあ、似たようなものだろう。多分。
「わ、分かりました。頑張ります……不安、ですけど……」
「はい、頑張ってください! 私たちも頑張ってお役目を果たして参りますので!」
「では、そのためにも出発しよう」
「ええ」
今回の勇者殿は自信が足りないように見える。
ヨルドを同行させるよう頼んでもらったが……なんだか少し不安になってきたなぁ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます