地の文「なんか私が見える小娘が主役みたいですよ?」
咏柩
序章「深淵ノ底ニ在ル者」
―
ある時、誰かは夢を見た。
また、ある時、誰かは幻を見た―
血の様に赤い空、
大地が
無数の兵士が津波の様に押し寄せ、無数の兵器が地平線を埋め尽くす。
大地は
人々は
どうしてこうなったのか? なぜそうなったのか? そんな疑問が頭をよぎると同時に頭の中に複数の誰かの思念が押し寄せる。
善とは何か? 悪とは何か? 神とは何か? 悪魔とは何か?
死とは何か? 死ぬとどうなるのか? 死んでまた生きられるのか?
肉体とは何か? 精神とは何か? 魂とは何か?
魂は滅びるのか?
知恵とは何か? 知識とは何か?
幸福とは何か? 不幸とは何か? 正義とは何か? 公正とは何か?
数え切れない幾つもの疑問。誰のものかもわからない幾つもの
そして思念は
「金があれば!!」「力があれば!!」「名誉があれば!!」「権威があれば!!」「知恵があれば!!」「知識があれば!!」「技術があれば!!」
「不老の命があれば!!!!」
耳が張り裂けるかの様な
「やってみれば、わかる?」
それはとても静かで、
「そうであれば、見せてあげる」
それがまるで
「世界の全てを」
その声を
そこで誰かの意識は闇に沈んだ。
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