2020/10/2 猫になりたい満月の夜



2020/10/2 猫になりたい満月の夜




明け方の怒りの名残を引き摺って


それでもようやく一日を終えて


秋の夜の密度に安堵して


穏やかになったところで家に着けば


玄関で何故か箱に入った猫に迎えられて


頬も柔らかくほころんで







あの名残がまた掘り返されて


むしろその後の酷い有り様を聞かされて


自分だったら果たして耐えられただろうか


まるでそんな自信はないな、

なんて思いながら


気力も食欲もどこかへいって


居心地の悪さばかりが気になって



ベランダへ逃げてひとりになって



微かに香ってくる金木犀を感じながら


泳ぐ雲と佇む月をただ見上げて


そばに来た猫を撫でながら


いっそのこと猫になりたい


なんて思ってる





猫なってしまいたい


なんて思っていたら


月が雲の向こうへ隠れてしまった










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