第21話 神と元神

「最近、悪魔デーモンの出現率高めだけど何かあるのかな?」

悪魔デーモン駆除の帰り道、安奈アンナさんに、ふと思った事を聞いてみる。

ジンさんと寅娜インナさんは、別件でまだ仕事があると言って2人で車で去っていった。

私達3人は、歩いて鬼堂まで帰ってる途中だ。

「噂によると悪魔デーモン達がこの街に集まりだしているらしい。」

え!

そんなこと初耳ですが!

「集まりだして逆に私達が襲われるとか?」


「どうだろう?」

悪魔デーモン達の存在は人間の欲が深く関わっているからな。」

人間の欲?

これは、必殺鸚鵡返しだな。

「人間の欲?」


「そうだ。悪魔デーモンも元は、神だ。」

「神が此処を去った時、悪魔デーモンも此処を去った。」

「神と悪魔デーモンは、ツイだからな。」

ツイなの?」

「そうだよ。」

ツイだからこそ神と悪魔デーモンと識別が出来るが、バラバラならそれこそ姿形が異なる神と言う事だ。」

ツイだから神と悪魔デーモンで、神がいなければ悪魔デーモンは、神…難しい。

悪魔デーモンを此処に呼び出し引き留めているのは、人間の欲だ。」

「神が去った後、愚か物の人間は、人間を神に仕立てあげたが、それは、マインドコントロールで、神に仕立てた人間は、特になにも力などない。」

「そこで愚か物の人間が目をつけたのは、元神である悪魔デーモンの力だ。」

「ことの始まりは、一家を残虐に殺害され生き残った独りの少女の切なる願いだ。」

「独り生き残った少女は、毎日、神に願いを言った。そして、自分の非力さに絶望していた。」

「もう、神が居ない世界で。人間が生み出した人間の神では、なく、本当の時の太陽神に。」

「神が居ない世界、少女の切なる願いは、神に届く訳がない。神が存在しない世界だから。」

「しかし、少女の切なる願いは、毎日、毎日、発信された。」

「少女の切なる願いは、強まり空間の狭間に引っ掛かった。」

「それを見付けたのが悪魔デーモンだ。」

悪魔デーモンは、毎日、毎日、送られてくる神への思いに古の時代を垣間見た。」

「人間がまだ神の配下にあるときの人間の神に対する崇拝。」

悪魔デーモンは、少女を空間の狭間に呼び出した。」



「お前は、神に何を望む。」


「私は、私の家族を残虐に殺害した物達を許せない。」

「出来ることなら太陽神様の業火の炎でその物達を消し去って頂きたい。」


「神は、動く物には、平等だ。」

「お前の願いでその物達を業火の炎で消し去ったらお前は、何を持って平等とする。」


「その物達が消え去るのを見たのちに私も業火の炎で消し去って下さい。」


「なるほど。それがお前の考えた平等か。」

「承知した。ならば、今すぐ行う。」



「少女は、目の前の悪魔デーモンの姿を見ても疑う心もなく神であると崇拝した。」

悪魔デーモンは、神の思考のもと等価の願いを受け入れた。」

「少女の目の前で、少女の家族を残虐に殺害した物達が業火の炎に焼かれた。

逃げ惑う物達、しかし業火の炎は、その物達の肉体の内側より発火して物達を消し去った。」

「それを見届けた少女にも業火の炎が発火した。

少女は、涙を流していた。」

悪魔デーモンは、涙を流しながら焼かれる少女を見続けた。」

「少女は、消え去る寸前に笑顔で「ありがとうございます。」と悪魔デーモンに感謝の気持ちを伝えた。」


「これが、人間と悪魔デーモンの契約の始まりだ。」

「人間は、悪魔デーモンを神と崇め、悪魔デーモンは神の思考の元、願いを受け入れた。」


なんか、悲しい話だ。

少女の家族が殺されたなかったら起こらなかった出来事。

神の平等により己も焼かれて平等とした。

でも、だとしたら今も悪魔デーモンとの契約には、人間の願いと等価なものを人間は、悪魔デーモンに差し出しているのか。

そこまでして願い事とは、なんだろう?

契約の始まりの少女は、家族の無念を無に還す為に己の命さえ差し出した。

でも、もっと小さい願い事なのかな?

好きな人と結婚したいとか?

でも、それの等価て、なんだろう?

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