第40話 業火の中で

「ワン子!」

だが今はそれどころではないアーシュ


カチン カチャ 音を軋ませながら

再び 再生して蘇る骨の馬と戦士がアーシュを囲み


ゴソリ、それに這い出してきた落とし穴の

骨の恐竜達目の前の骨の獣や骨の巨人が攻撃してきた


よけ損なって頭上に微かにあたり額から血


それに再びわき腹に 槍がかする


「うわっ!」痛みに悲鳴 


唇から血がもれる2撃目は思った以上に傷が深い


瞳を見開き 唇をかみ締め 囲んだ敵を睨みつける 

ゆっくりと口を開き 魔法の呪文を唱える


「業火の炎よ 現れよ 炎の竜 我が呼びかけに答えよ 我が名は・・・」


アーシュの足元 

円や楕円を弧を描くように 炎が走る弧を描く炎は足元から大きく広がってゆき


そして轟音を立てながら 全ては炎に包まれる

アーシュの瞳は紅く輝き

そして、足元の炎 声をあげなら炎の中から竜の形を取るものが現れた

パチパチ・・炎が一面を覆う 全ては業火の中で燃えていた


骨がバラバラと崩れて 灰になってゆく

炎の中で アーシュは一人 立ていた


己の血で 身体を赤く染めて 殺気だった瞳を見開いたまま立ち尽くすアーシュ


「アーシュラン いや、黒の国のサラマンデイア(火竜王)・・よかったのかな?」

白銀の髪や額の飾り身に纏った片肩と胸当ての銀の鎧が炎に照らされ 輝いている


声をかけてきたのは女性の戦士のいでたちのケンタウロス

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