第4話 パン屋開店 二日目②

セレナはお店でくつろぎながらお客が来るのを待っている。

本当にぜんぜんお客さん来ないわね。

パンの値段高すぎるのだろうか……。

改めて値段を見るとこれは高いわね。

セレナはすべてのパンの値段を大幅に下げてお客さんが買い求めやすいように変えた。

これできっと来てくれると信じている。

ついでにパンを5個以上買ってくれた人に例の悪戯なパンをプレゼントしようかな。

早速、お客さんが来たようね。

お客さんは店の中を見回している。

そうするとパンをいくつかトレーの上に載せていく。

お客さんはセレナの元へきて

「会計お願いします」

と言われた。

セレナは会計を済ませるとパンを袋の中に入れていく。

次に5個以上パンを買ってくれたので例の悪戯パンを一緒に袋の中に入れた。

お客さんに袋に入ったパンを渡す。

お客さんは受け取るとお店を出て行った。


しばらくしてからさっきパンを買ってくれた人が来た。

「すいません、このパンなんなんですか? 辛すぎるじゃないか」

「そのパンね、悪戯用に作ったパンよ」

「悪戯……そんなの作る暇があるなら違うパンを作れ」

と言いながら、お店を出て行った。

セレナは心の中で笑っている。

これだからパン屋はやめることができない。

例の悪戯パンをプレゼントじゃなくて普通に販売しましょう。

セレナは例の悪戯パンの陳列を始める。

これでいいわね。

さすがセレナね……どの位の人が買ってくれるかしらね。

そうしているとまた違うお客さんが来た。

お店の中をうろうろとしていると例の悪戯パンをトレーに載せている。

他にも違うパンをトレーに載せている。

結構買うのね、このお客さん。


お客さんが

「お会計お願いします」

と言ってきた。

セレナは会計をするとトレーの載っているパンを袋詰めしていく。

終わるとお客さんに渡した。

お客さんは満足そうにお店を出て行った。

今日はパンのお値段を下げたから結構買ってくれてるのね。

下げたといってもそれでも他店のパン屋よりかはちょっと高いかもしれない。

それでも一般の人には買いやすいお値段だと感じる。

そろそろ営業時間終了ね。

セレナはお片づけをしている。

お片づけが終わるとシャッターを下げてお店を閉めた。

セレナの家に帰りましょうか。

家に帰っている道中に一人の女性に声かけられた。

「こんばんは、パンのお値段を下げたのね」

声がする方に振り向くと例の女性が居た。

「どうしたの? セレナの後でもつけていたの?」

「違うわ、あなたのお店をじっと離れた場所から見ていたわ」

「随分とお暇なのね」

「そうでもないわ、でも、ちゃんと聞き入れてくれたのね」


そういえば、以前に女性から言われた事を思い出した。

セレナは結局、聞き入れてしまったのね。

「そういう事になるわね」

「悪そうな店主かと感じたけど、心の中は良い人なのね」

「あなたこそ、一体何者なのよ」

「教えてあげたいけど、そのためにはあなたが他にもしている事が条件付きね」

子供達にパンを配っている事ね。

その事を教えるわけにはいかないわね。

ここは諦めるしかないわね。

「それはできないわね、ごめんなさい」

「そう、ならセレナも無理ね」

女性は歩き出すとどこかに向かって歩いていった。

セレナは家に帰る事にしたのだった。

家に着くとセレナは

「今日は落書きと街の掲示板のせいで大変だったわね」

「そういう事が起きないように気をつけないといけない」


セレナは悪い事をするのは大好きだけど、されるのは嫌だった。

だから、明日からは対策を立てないといけないようが気がした。

今日は疲れているからもう目を閉じて寝ましょう。

いい夢が見れますように……。

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