腹黒聖女は戦争がしたい
そもそも、この国に魔物が蔓延っているのもスミヨルのせいだし、彼女が悪いのよ。
聖女の力を持ってるくせに、あの汚らわしい魔物を国に入れるなんて。バカみたい。
だったら全部、スミヨルが悪い事にすればいいんじゃない?
そうよ!彼女が魔物と一緒に逃げて、この国に戦争を仕掛けているとお告げがあった、そう言えばいいのよ!
そうと決まれば早速、準備しなくちゃ。早くしないと私が聖女じゃないとバレちゃうし。
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城の中で魔王に教えて貰った闇の魔法。使うのは初めてだけど、思ったよりは難しくなかったな。
だって、魔王って教えるのがとっても上手だもの。魔王を辞めて、教師になってもいいぐらいだし。
『どうだ?これで門の強化、出来そうか?』「任せて!飛び切り凄い魔法、掛けてあげるね。」
そう言って門に行こうとしたけど、城の中が広すぎて出口が何処か迷っちゃってる。
右に行っても左に行っても迷子だし、振り返っても城の通路は変化してるし。
どうしようと思ったら、城がぐにゃりと変形して私の前に魔法陣が現れちゃった。
『すまんな。この城は安全の為にこうなっているのでな。さぁ、その魔法陣に触れるがいい。
すぐさま門まで連れて行ってくれるだろう。』流石は魔王ね、城の壁から声が聞こえるもの。
それじゃあ早速、魔法陣に飛び乗ってひとっ飛び。あっという間に辿り着いちゃった。
さて、門にはどんな魔法を掛けようかしら?
人間に見つからない為に隠匿の魔法、万が一入って来た時に反射の魔法、それにそれに幻惑の魔法も加えて…。
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人間は、愚かだ。聖女・スヨミルみたいな人は別だが。
見た目や能力が少し違うだけで、必要以上に我らを恐れる。挙句の果てには、殺そうとすらする。
困ったものだ。我らはただ、住処を求めているだけなのだがな。
まぁ、人間が我らを怖がる理由は分かる。血を吸う魔物、巨大な狼に変身する魔物、怖がるのも無理はない。
だからこそ我らは山に隠れて生活していたし、人里に来る時も目立たぬ様にしていたのだ。
それなのに、我らと協力した聖女・スヨミルは処刑されかけた。王国にいる魔物を、匿っていたという理由で。
彼女が仲間達と協力したからこそ、王国民は血を吸われる事もなく、狼に変身する所も見ずに済んだのだ。
だが、今やその聖女は王国一の悪女とされている。魔物と協力しそそのかして、王国に戦争を仕掛けている悪女だと。
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