紅の章第2節:最凶のゴブリン

 今日のジル先生のコテモルン語の授業が終わるといつも通りそのまま酒場で夕食を食べ宿へと戻る。

 満腹になったイアオネがぐっすりと眠ったところで二人の姉妹はアイテム屋でリュック型のバックパックを購入してから再び酒場へと戻り今日挑むクエストを選ぶ。


「ワン、今日はどれにしようか」


 ロクワンは昨日に引き続きお金を稼ぐため掲示板の前で深夜クエストの張り紙をあさっていた。今日は二人だけの受付でのコミュニケーションを踏まえた実践という名目でジルの通訳は来ていない。


「昨日の奴は弱すぎたからなー、上級でなんかないかな?」


「中級飛ばすの?」


「初級であれなら中級も大したことないでしょ」


「だよねー、報酬金額が一番高いやつにしようか」


 そう言ってロクは報酬金額が一番高いクエストを手に取る。

 今日の授業でだいたいの【文字】を覚えたロクワン、しかし単語の意味まではまだ分からないのでクエストの内容はさっぱり分からない。

 唯一分かるのは地球の数字と形の似ている数字で書かれた報酬金額だけ。

 昨日のジルのやり取りでクエストの申し込みの仕方はだいたい分かった。流れとしてはクエストの紙を受付に持っていき受理してもらった後控えの紙を貰って終了。このとき一緒に地図を渡すとダンジョンの位置を地図に読み込んでくれる。


「さてと、行こうか」


「ウラウラー」


 酒場を出て早速地図を開く。

 昨日ジルから借りた地図やバッグはロクたちにあげるとのことだったので新しいのは買わずそのまま使わせてもらう。

 地図の裏に施された投影魔術により地形は立体的に浮かび上がる。しかもアップとルーズ、スワイプで上下左右と三百六十度自由にずらすこともできる。

 少し縦長の赤い八面体が現在地、二回ルーズし北側にあるバツ印が目的地。場所が分かったところでロクワンは北門へと走りだす。


「そういえばなんで昨日短剣買ったの? 武器くらい自分で生成すればいいじゃん」


「ん? あぁコレ、刺した対象を絶命させる効果があるんだって……これは試すしかないでしょ!」


「さいですか」


 絶命とか確殺とか相手の死を確定させるような言葉になると、とたんに頭が悪くなるワンにいいカモだなと思いながら走る速度を上げる。


 門を出て辺りに誰もいないことを確認してから昨日同様光速でダンジョン前まで移動する。


「今日は私の勝ちだね」


「いやいや僕が荷物持ってるんだから流石に勝って当然でしょ」


「負け犬の遠吠えですか? ワンちゃんだけに」


「その舌引き抜いてあげようか?」


 ちょっとした冗談のつもりでワンを弄ると満面の笑みでロクの舌を引き抜こうとしてくる。殺る気満々なワンの左手を押し返しながらダンジョンの入り口に向き直る。

 ダンジョンの入り口は高さ十メートルはありそうな巨大な扉があり見たことのないバケモノの装飾が施されている。


「…………これさ、自力で開けるパターンじゃないよね」


「うっ、昨日のトラウマが……」


 ロクワンともに大げさに頭を押さえつつ扉の前に立つ。

 しかしいくら待っても扉は開かない、びくともしないだろうと思いつつ一応扉を押したり引いたりスライドしたりするもびくともしない。


「ガチのグーパンしたら壊せるかな?」


 自分たちの身体の体質を利用し、光に戻した自身の身体を一点に集中してレーザービームの要領で打ち出せば貫通できるんじゃないかと考えるワン。


「壊せそうな感じはするけどね」


「じゃあ発案者のワン頑張って」


「えっ姉さんがやってくれるんじゃないの?」


「えっ?」


「えっ?」


「………………」


「………………」


「えっ??」


「えっ??」


「……………………」


「……………………」


「えっ???」


「えっ???」


 そこから五分ほど沈黙が続き埒が明かないと判断したワンがもう一度質問をする。


「姉さんがやってくれるんでしょ?」


「痛いからヤダ、ワンがやってよ」


「僕も痛いのは嫌なんだけど」


 光体になっているとはいえちゃんと痛覚は働いている、例えレーザービームになって体当たりしても大したダメージにはならないが正直めんどくさいので絶対に自分はやりたくないと考えるロクワン。


「ワン、じゃんけんしようか。負けた方が扉ぶち抜く」


「いいけど後出ししたら負けね」


「「じゃんけん、ポンッ」」


 ロクがグーでワンがチョキ、録画ドヤ顔をかまそうとしたその瞬間、先にワンが勝ち誇った顔をする。


「姉さん今……後出ししたでしょ」


「してない」


「ダウト、コンマ一秒ずれてた」


「コンマ一秒は誤差だから」


「僕と姉さんのじゃんけんでそれは無理があると思う」


 苦しい言い訳で視線を逸らすロクに呆れて正論をぶつけるワン。


「はいはい分かりましたよ、やればいいんでしょ」


 論破され話ロクはけだるそうに一つ大きなため息を吐いて自身の肉体を光へと変化させ一点集中で扉に突撃する。

 あたりを眩しく照らしながら一直線に飛んで行き扉に風穴を開けたかのように思えたロクだったが扉に触れた瞬間扉全体に複数の魔法陣が浮かび上がりロクの身体は数秒の拮抗のあと跳ね返されるように遥か彼方へと飛ばされる。


「ははっ、やば……」


「あぁ……痛い」


「おかえり、結構飛ばされたね」


 飛ばされてからコンマ一秒後、左手首を握りぐるぐる回したり手を握ったり開いたりしながらロクが戻ってくる。


「カウンター魔法でも張られてるのかな、今の私たちじゃ壊せないねコレ」


「そっかー……よし、諦めよう」


「リタイアリタイア」


 ダンジョンにすら入れないことを知ったロクワンは一旦酒場へ戻りクエストをキャンセルして二番目に報酬金が高いクエストへ向かう。

 しかしそのダンジョンの入り口にも頑丈な扉が設けてあり前のクエスト同様力技で中に入ることはできなかった。

 その後もリタイア、リタイア、リタイア、リタイア、リタイア、リタイア、リタイア、リタイア、リタイア、リタイア、リタイア、リタイア…………。大きさは様々だか、挑戦したダンジョンの入口は全て扉が設けられており、ご丁寧にその全てに謎のカウンター魔法が施されている。


「ねぇワン、これは泣いていいよね」


「うん、いいと思うよ」


「私明日からナパーム弾常備するから」


「僕もこの世界にTNT爆弾ないか見てみるよ、どうせ跳ね返されるだろうけど」


 まだ一時間程度しか経っていないのにいったい何回リタイアしただろう、メンタル的にも今日最後のクエストになりそう。

 ラストの挑戦に選んだクエストは報酬金百万ゴールドの上級者の中でも底辺難易度のダンジョン。


「だいぶ報酬安くなったね」


「今日で一ヶ月ダラダラできるくらいには稼ぐ予定だったんだけどね」


「ナパームとか必要なもの色々あるし、百万程度じゃ全然足りないね」


 受付を済ませ北門へと歩いていく。位置的には最初に行こうとしていたダンジョンの近くで地図を見た感じ入口に門はあるが今までのように頑丈閉ざされた迷宮というわけではなく、どちらかと言うと巨大な山の壁をくり抜いた洞窟の入口に落とし格子で塞いでいる地味な感じの作りだ。

 とりあえず今度こそ入れそうな入口なので光速で向かう。


「はい着来ました今からストレス発散します」


「初対面でサンドバッグにされるモンスターが可哀想……いやそうでもないな」


「モンスターはみんな不調和だからね慈悲はない」


「お姉ちゃんみたいに見えたら便利なんだけどね」


「ほんとそれな、まぁ見えなくても経験と勘で割と何とかなるけどね……じゃあワンよろしく」


「はいはい」


 順番的にワンが門の開門をする番。

 今までの門と違い今回は開けられることがほとんど確定しているのでワンも面倒くさがらず進んで開門する。

 ロクワンの胴回りの何倍もある極太の丸太でできた落とし格子を光速の手刀で四角に切り裂き足で蹴飛ばすと、ちょうど二人が通れるサイズにくり抜かれる。


「今日もさくっと終わらせようか」


「無駄に疲れたしね、おかげでロクちゃんお眠」


「なんならここで寝てても──、」


 洞窟の中に入ってすぐなに生命の気配を察知する。まだ視界には入ってないがこちらに近づいてきていることは確か、落とし格子を雑に開けたせいで侵入に気づかれたか? このダンジョンのモンスターかはたまた先客の冒険者か…………。

 ロクワンは気配のする方をじっと凝視する。二人の目は夜行性の動物以上に光を捕えることが出来るので、光が存在しない漆黒の世界でもない限り快晴の昼間のようにはっきりと見ることが出来る。


「モンスターかな?」


「さぁね、見ればわかるでしょ」


 姿の見えないナニカに恐怖することなくワンは気配の元へと向かう。

 そして洞窟の曲がり角、そいつが物陰から姿を現しこちらを認識しようとした瞬間、ワンがそのナニカが得た視覚情報が脳へと送られる前にコアを抜き取り絶命させる。


「なにそいつ」


「見た目と色的にゴブリンかな」


 ワンの足元に真っ赤な血を流し倒れる人型のナニカは聖騎士のような立派な装備をみにつけた生き物。

 ソシャゲで例えるなら間違いなくSRレベルの装備が体全体を覆っているためそのままでは正体は分からないが、そのナニカは腐ったタマゴのような腐敗臭を漂わせている。

 足でそいつの体をひっくり返し兜を外すと全身が緑色の生物が姿を現す。

 エルフのように先の尖った耳と大きく長い鼻と黄色く濁った目、鋭利な牙が生え揃った半開きの口からは紫色の長い舌がでろんと出ている。


「おっ、あってた」


「ワン? 今なんて?」


 しれーっととんでもない発言をしたワンに驚きロクは反射的に慌てて聞き返す。


「いやーまさか本当にゴブリンだったとは、今日の僕冴えてるね」


「わかってて倒したわけじゃないのね」


「刺した時直感的にあっこれはゴブリンだって思っただけ」


「………………」


 結果的に本当にゴブリンだったから良いもののただの人間だったらどうするつもりだったのだろうか。基本直感で行動するワンの事だどうせそう言った事態は想定していないのだろう。さっきの状況、別に必ずしも瞬殺しなければならないという訳ではなかったのだからせめてゴブリンだということに確信を持ってから行動に移して欲して欲しかったと思うロク。そしてこの先もちゃんと核心を持ってから討伐して欲しいと願う。


「そもそもこんだけガチガチに装備固めてたら見た目で判断出来るわけないじゃん」


「ならもう少し慎重になってくれない?」


 ワンの言い分に確かに第一印象では判断しかねるとロクも同意するが、それと同時に分かっていてなお強行突破したワンの後先考えない身勝手さに呆れる。


「直感が不調和って言ってたから」


「直感的なのは別にいいの、問題なのはその勘が外れた時のことを一切考えないで行動してるところ」


「さすがの僕でも確信がないのに出会い頭でいなり刺すような真似はしないよ」


「ついさっき自分がなにしたか覚えてる?」


「うーーーん…………忘れたっ」


「私なにがあっても責任取らないからね」


「えっやだ」


「えっやだじゃなくて」


「こういう時は連帯責任でしょ」


「いや、こんな理不尽極まりない巻き添えで連帯責任とか絶対嫌なんだけど」


「連帯責任じゃなかっらた僕だけ兄さんに怒られるじゃん嫌だよ」


「説教を回避するという選択肢はないのだろうか……」


「これはもうあれだね、モンスターの中に一般人が混じっていないことを願うしかないね」


「自分で判別するという考えはないのだろうか……」


 ワンの戦闘に対する偏った考えに振り回されるロク。こうなった時はいつもイオかオニがブレーキをかけていたのでワンと同じアクセル側のロクには荷が重すぎる。

 そもそもワンを止める理由もただ単にイオに説教されたくないからというだけでそれさえなければブレーキがいないこの状況ならロクもアクセル全開で自由に動けただろう。


「それにしてもゴブリンかー数多いんだろうなぁー」


 今度は複数の不調和を感知する。さっき倒したゴブリンと同じ気配なのでおそらく仲間が異変を察知して向かってきたのだろう。驚くべきはその数、百はいるんじゃないかと思うほどたくさんの不調和がロクワンの元に集まってくる。


「グギギギャギャグガガッガギャチッデャグジャガッ」


 明らかに人間が使うような言葉ではなくどちらかというと鳴き声に近い荒れたうめき声のような言葉を発しながらその集団はあらわれた。

 主人公やラスボスが使うような多種多様な装備や武器を身に着けた小学生くらいの大きさをした体の露出部は緑色で、先の尖った耳と大きく長い鼻、黄色く濁った目が大半を占めるが奥の方に数匹赤い眼の奴がいる。鋭利な牙が生え揃った口から紫色の長い舌が唾液を纏ってでろんと垂れ下がる。

 確信。ゴブリンの群れ、そしてこのダンジョンはゴブリンの巣。


「><?>*+{‘+‘{#$&”$%;@%”+‘¥‘{”++?」


 一番先頭にいたゴブリンがこちらの存在に気づき今度はちゃんとした人間の言葉を話す。しかもその言葉は今現在進行形で勉強しているコテモルン語だった。上級魔族とかならまだしもこんな雑魚of雑魚モンスターが人間の言葉を話していることにロクワンは驚く。


「凄いね人間の言葉喋ってるよ」


「まぁ僕たちまだコテモルン語分からないし実質ゴブリン語だよね」


「日本語? なんだお前ら異世界人か?」


「「!?」」


 日本語で会話する二人に今度はまさかの日本語で質問してくるゴブリン。さすがにこれにはロクワンもあっけにとられる。日本語の発音は完璧で異世界人という言葉まで知っている。これはいい手がかりが見つかるのではないだろうかと思ったロクワンはクエストを一旦中断しゴブリンとの会話を試みる。


「日本語が話せるんだ、面白いゴブリンだね」


「人間の言葉程度簡単に覚えられる」


「……負けた……この私が、ゴブリンごときに……」


 自分たちは今まさに覚えるのに苦労している言語をゴブリン共はいとも容易く覚えてしまう。

 ファンタジーにおけるクソ雑魚モンスター四天王のゴブリンの方が頭がいいという現実に内心ガチで落ち込むロク。


「姉さん何マジで凹んでるの」


「だってー、こんな同人誌でしか優遇されないRPGの序盤にしか出てくるクソ雑魚変態モンスター代表が私より頭いいって納得できるわけないでしょ!」


「ボロクソ言うじゃん」


「そもそもこいつらが頭よかったら世界のパワーバランスが──、」


 ──ズヴアアアァンッッッ!!! ザンッ! スパーンッ!!! 


 ロクが愚痴っているところにゴブリンが数匹奇襲をかけて攻撃してくる。

 振り下ろした剣から放たれた複数の斬撃がロクワンの体を洞窟内ごと斬り刻み、さらに反動で入口は崩落してきた瓦礫で塞がってしまう。


「ケケケッ、ガギャギジャギギゴ」


「ケキャキャジャガガゴ」


「ゲシャシャッ、ギョギジャギギョ」


 奇襲に成功したゴブリンたちが完全に価値を確信したかの様な歓喜の声を上げる。派手に暴れたせいで視界が遮られるほどの砂埃が大量に舞い上がる中、新しいおもちゃを手に入れた子供の様なテンションで不気味な笑い声をあげる。


「知能は高くても戦闘経験は浅いみたいだね」


「殺した相手の死体を確認しないとか戦場舐めすぎ」


 砂埃の中に人影が浮かび日本語で呆れるように話す声が聞こえる。

 その声を聴いた瞬間、ついさっきまで腐った笑い声が渦巻いていた洞窟内が一瞬にして静寂に包まれる。

 やがて砂埃は収まり視界が晴れると何事も無かったかのように無傷のロクワンが姿を現す。

 ゴブリンたちは混乱していた。さっきの不意打ち、確かにあれは成功していた。あの人間二人の体を斬撃が貫通する瞬間もばっちり目に焼き付いている。なのになんでかすり傷ひとつ追っていないのか…………。


「ねぇ、聞きたいことがあるんだけd──、」


「グギギャゴガガッ!!!」


「ゲヒャハア"ア"ア"ア"ア"ッ"!!!」


 ロクの言葉を遮りゴブリンたちが一斉に攻撃してくる。どうやらこちらの話を聞く気は無いらしい。

 剣・槍・斧・鎌・鈍器・弓・ナックルからクロー、投擲武器にいたるまで実に様々な武器を装備したゴブリンがロクワンの周りを囲み渾身の一撃を与える。

 今度こそ仕留めたと思われたが攻撃を当てたゴブリン全員が同じ違和感を覚える。


 ──…………手ごたえがない


「話くらい聞いてくれてもいいんじゃないですかね」


「もういいんじゃん、早く終わらせよう」


 先ほどと同じように無傷のロクワンが少しイラついた口調で呟く。

 全ての攻撃を避けた? いや、この人間二人は避けるどころか体を動かす素振りすら見せなかった。

 なら防御魔法で攻撃が無効化された? それもありえないだろう。なぜならこの二人からは魔力が一切感じられない、ゆえに魔法が使えるとは思えない。


「いやいや異世界の存在を知ってて日本語も話せるゴブリンだよ? いろいろ聞いておきたいじゃん」


「まぁ確かにそうだけどさ」


「ゲギャガガゴー!」


 せっかくの機会を有効に使うため、早まろうとするワンをなんとか制止するロク。

 するとゴブリン軍団の後方で他と比べて明らかにガタイが良く別格のオーラを放つ一匹が声を上げる。すると他のゴブリンたちはロクワンを囲む現状は変わらないが一斉に身を引き距離をとったことで闘技場のような円形の空間ができる。

 そこに先ほど声を上げたゴブリンが円の中に入ってくる。

 身につけている装備も一番強そうで、さしずめゴブリンリーダー言ったところか。


「おっ、このゴブリンリーダー私たちとサシでやるみたい」


「じゃあ僕が格の違いってやつを見せてあげないとね」


「やめなさい、話聞くって言ってるでしょ」


 ロクが目を話した瞬間周りのゴブリンたちが一斉にしゃがんだかと思うと、ゴブリンリーダーがすかさず間合いを詰め持っていた剣でロクの胴を横に薙ぎ払う。その威力は絶大で薙ぎ払った時に生じた斬撃は隣にいたワンの胴体を抜け洞窟を貫通し外に生えている森の木々や岩を薙ぎ払いながらずっと遠く地平線の彼方まで飛んで行く。


「もう大丈夫だってちゃんと手加減するから」


「ダウト。その手加減の基準私とかイオとやる時のでしょ」


 ゴブリンリーダーの攻撃をよそに何事も無かったかのように会話を続けるロクワン。ゴブリンリーダーもようやく部下たちが何故仕留めるのに手間取っていたのか理解する。

 防がれてはいない、避けられてもいない、確かに斬った。刃が胴体を通過するその決定的瞬間もしっかりと目に焼き付いている。

 しかし手ごたえは皆無。あれだけはっきりと斬られておきながら、斬れているはずの胴体から血は一滴も流れておらず服すらも破けていない。

 そんなゴブリンリーダーの困惑には一切興味なしといった感じでロクワンはまだ会話を続ける。


「信用なさすぎで僕悲しい」


「日頃の行いって言葉してる? どうせ手加減したのになぁとか言うオチ確定だからワンは引っ込んでて」


「いやでもですよ手加減手加減言うけどさ、耐えられなかったゴブリン側にも責任はあると思うんですよ僕は」


「ギシャガジャア"ア"ア"ア"ア"!!!」


 攻撃が効いていない事に加え自分が部視され完全に舐められていることにゴブリンリーダーは激怒し猛連撃をロクワンへ浴びせる。

 しかしその攻撃は全てロクワンの身体を通過するだけでやはりダメージにはなっていない。

 周りのゴブリンたちもリーダーが傷一つ与えられない現実に怯え既に戦意を喪失している。


「グギギガゴガガグゴゴ……ッジャジャウガギャー!!!」


 絶望的なこの状況にゴブリンリーダーは鋭利な牙が潰れる勢いで悔しそうに歯ぎしりした後何かを訴えてくる。


「さっきから五月蠅いな、せめて日本語でしゃべれよ」


「まぁまぁ発情期なんだよきっと」


 雑音しか発しないゴブリンリーダーにしびれを切らして睨みつけるワンとなだめるふりをしてサラッとディスるロク。


「…………ッガウヴァ"ッ!!!」


 ゴブリンリーダーが短く叫ぶとロクワンを囲っていたすべてのゴブリンが一斉に洞窟の奥へと逃げていく。

 急いで追いかける様子もなくゆっくりとゴブリンたちが逃げて行った方へと足を進める。

 ゴブリン集団の最後尾を見失わない程度のスピードでついて行くこと数時間、迷路のように入り組んだ洞窟内を抜けた先はまさかの地上、しかもそこは王宮の中庭。目の前には立派にそびえ立つ城が建っており、出てきた洞窟の方を見るとそこに山は無くあるのは城門の入口前に並べられた複数の白黒に浮かぶ歪んだ空間だけ。


「空間魔法?」


「ゴブリンが魔法使うとか何それ面白そう」


 ゴブリンが魔法を使うという今まで経験したことの無いパターンにちょっとだけこの先にいるであろうボスに期待を抱くワン。


「分かってると思うけど好きにするのは情報聞きだしてからだからね」


「大丈夫だよ、正直僕も知りたいし」


 歪む空間から視線を戻すと追っていたゴブリンたちは姿を消していた。

 周りにも気配はなくおそらく城の中に逃げ込んだと考えられる。


「姉さん姉さん、正面突破もいいけどさ、どうせ道中相手にしないならショートカットでよくない?」


「そうだね、この様子じゃ多分他にボスがいるだろうからそいつに聞いた方が早いね」


 そう言うとロクワン二人は地面を蹴って跳躍し三十メートル以上ある灯りの付いた城の最上階にある部屋にガラスを蹴破って突入する。

 ガッシャーーーンッと爽快な粉砕音を立て部屋に入り真っ先に目に入ったのは真っ赤に染まった部屋と無残に殺された無数のゴブリン並びに洞窟で戦ったゴブリンリーダーの死体。


「待っていたぞ異世界人」


 日本語で呼びかけられ声のする方を向くと玉座にふんぞり返る巨大で丸々太ったゴブリンとその玉座の前に縦に二列で整列する十一匹のゴブリンがいた。

 玉座のゴブリンは王冠とマントしか装備していないが、前のゴブリンたちは全員ゴブリンリーダー並の装備を身に着けていてそれなりのオーラがある。


「あんたがボスでいいんだよね」


「でかい生ごみのタイプだったかー」


「人間少し無礼が過ぎるぞ!」


 ロクワンの舐め腐った挑発に十一匹全員が一斉に剣を抜きその中で一番風格のあるゴブリン(ここではゴブリンリーダーB)が一喝する様に警告する。

 しかしロクはその警告が自分たちに当てはまっていないのをいい事に玉座に歩みを進めながらマイペースに話を切り出す。


「あんたにちょっと聞きたいことがあるんだけど」


「勝手にしゃべるな! 止まれ!」


「私たちさ、複数人を同時に異世界召喚とか異世界転移できる存在を探してるんだけどなんか知らない?」


 質問が終わると同時にロクたちの後方の壁がみじん切りの様に斬り刻まれ崩壊する。

 ロクが話している間に警告してきたゴブリンリーダーBが超スピードで斬り刻んだ斬撃が生んだ結果なのだが、相も変わらす攻撃は全てロクの身体をすり抜け本人には一切のダメージが入っていない。


「はぁ……ただ質問するだけなんだからちょっと静かにしててくれない?」


 そう言ってロクがゴブリンリーダーBに冷たい視線を送るとゴブリンリーダーBの剣がの元からポッキリと折れる。

 ワン以外のこの場にいる全員がいつ折られたのか全く気づけず、ゴブリンリーダーたちは訳も分からぬまま慌てて臨戦態勢に入る。


「強いな異世界人、こんな厄介事を連れてきたコイツらはやはり殺して正解だった」


 ここにきてようやく玉座のゴブリンキングが口を開く。

 どうやらこの無数の死体はゴブリンの王がいるこの場所にわざわざ危険を持ち込んだバカの末路らしい。


「あんたらの仲間事情はどうでもいいの、質問に答えてよ」


 ゴブリンキングはゴブリン語でゴブリンリーダーたちと何やら話をしたあと、十一匹全員に席を外すよう命令する。

 そして玉座の間にはロクワンとゴブリンキングそして死体山だけになりゴブリン側からするとキングが自ら護衛を外し冒険者と直に接触するというとても危険な状況になった。

 しかしゴブリンキングは落ち着いた様子で口を開く。


「質問に答えよう、もちろん知っている。ただこの世界にはそう言ったことが出来る者は珍しくない、余が知っているだけでも万はくだらないだろう」


「なーんだ、やっぱ誰でもできるのか。じゃあもう一つ……転移魔法とか使わないで元の世界に戻る方法とかってある?」


「余は知らぬが…………無いとは言い切れぬ」


「可能性はゼロではない……か…………」


「さて、今度は余の質問にも答えてもらおう。お主らいったい何者だ」


「なにって、ただの異世界人だけど?」


「魔力を持っていない人間が斬撃を無効化できるとは思わんがな」


「言ってもどうせ、あんた程度の頭じゃ理解できないよ諦めな」


「余の頭が足りていないと申すか」


「だって頭いいって言っても別に全生命中ナンバーワンってわけじゃないでしょ。どうしても知りたいなら神レベルの頭脳になって出直して来な」


「まるで自分たちが神のような言いぐさだな」


「まさか、私たちがあの次元と一緒な訳ないでしょ。そもそも──、」


「姉さーん、聞くこと聞いたんだから早く終わらせて帰ろうよ暇すぎて眠いんだけど」


 ぐだぐだと会話を続けるロクにバックパックを枕に床に寝っ転がるワンがクソだるそうに愚痴る。

 必要な情報は得られなかったが、可能性がゼロではないことが分かっただけでも十分収穫と言えるだろう。


「はいはいすぐ終わらせるから一秒くらい待ってて」


 そう言い終わるとほぼ同時にロクはゴブリンキングのコアを抜き取るべく光速の不意打ちで一直線に攻撃を仕掛ける。が、ロクの鋭利な手先がゴブリンキングの体に触れると同時にまるで鏡に反射する光の如く弾かれる。


「ふむ、自身の体を光と化し、光とほぼ同等の速さで動くことが出来る…………なるほどこれなら我々の攻撃が効かなかっとことも納得がいく。剣を光の速度でかわし元の位置に戻る、その動きを目で追えない生き物にはまるで剣がすり抜けたように見えるという事だ」


「ふーん…………あんたこそ面白いね、私の攻撃を跳ね返した」


 ──攻撃を開始ししてからはじき返されるまで、明らかに目では追えてなかった…………野生の勘か? 


「余は王である、王とは種を守る要であり導きの象徴である。そんな王が同胞を残して死ぬなど言語道断! 王が死す時それは種の絶滅を意味する。だからこそ余は倒れぬ、すべての同胞らがこの世から消えるその時まで」


「それが私の攻撃をはじき返した答え? 人間と言いケルベロスと言いゴブリンまで、ほんっとこの世界の種族は…………退屈しないで済みそうだ」


「この状況でまだ勝算があると?」


「ダメージを与えられないからと言って命を奪うことが出来ないなんて道理はない」


「何が言いたい」


「そのまんまの意味だけど? 今この場でお前のゴブリンとしての生を終わらせる」


「なぜわざわざ敵である余一人になって情報を与えたと思う…………答えは、余の敗北は絶対にないからだ」


「奇遇だねー私もあんたに負ける気なんて微塵もしないんだよね」


「姉さーん僕暇なんだけどー」


「正直攻略法分からないから少し時間かかるかも」


「じゃあ僕ベッド探して寝とくから起こしに来てね」


「安心しろ、ベッドなど探さなくても今すぐに寝床を用意してやる。かつてここにいた人間たちと同じベッドにな」


「なんだ元は人間がいたんだ、てっきりこの城もゴブリン文明の傑作かと思ってた」


「ここは我らが支配した国の一つ。我らの装備や武器も元はこの国の兵士が身に着けていたものだ。生き残った人間は地下で毎日朝から晩まで自分たちが食べる食料を作らせている。良いメスはそれとは別におもちゃとして使ってやっているがな」


「…………それはなに、こっちの世界のゴブリンの生き方?」


「まさか、こんなものただの娯楽にすぎない。自らの子を目の前で調理し食わせてやった時のあの顔。弱いものが手も足も出ず屈辱で絶望し命乞いをするあの顔が我々ゴブリンにとっては最高にたまらないのだ」


「ワン予定変更、すぐ終わらせる」


 そう言うとロクの紅い目がさらに赤く染まり鮮やかな緋色の輝きを放つ。


「いいよ、僕も珍しくやる気出てきたし」


 珍しく積極的になっているワンの目もロク同様、緋色の光を放っていた。


「あらあら、あのワンが人間のために動くなんて明日は嵐かな?」


「そんなんじゃないから…………」


「ありがとねワン、姉妹思いのいい妹がいてお姉ちゃん嬉しいよ」


「……別に、こういうやつはお姉ちゃんやオネには任せられないだけだし」


 少し照れくさそうに顔を逸らすワン。


「話は終わったか?」


 自分の力によっぽど自身があるのか、相変わらず玉座にふんぞり返り見下す体制から動かないゴブリンリーダー。

 完全に能力に頼り切って油断していることが見て取れる。


「これから死ぬのにずいぶん余裕だね」


「余が死ぬ? 言ったであろう、同胞が生存している限り余は能力によりダメージを受けることは無い。同胞は全てこの場から逃がしてある、ゆえに余が敗北することは絶対にない」


「こっちも言ったはずだよ、ダメージを与えることと命を奪うことはイコールじゃないって」


「はいはーいデブゴブリン僕からも一言、同胞は逃がしたって言うけどさ城の外見てみてよ」


 ワンが怪しい笑みを浮かべながらゴブリンリーダーが斬り刻みぽっかり穴が空き中庭が丸見えになっている城の壁の方を指さす。ゴブリンキングは自分がダメージを受けないことを利用し堂々と隙丸出しで壁の穴へ近づき中庭を見下ろす。

 ゴブリンの視力ならこの暗さと距離でも十分にの正体は分かった。夜の街灯に照らされているのは中庭の地面が見えなくなるほどの大量のゴブリンたち。彼らはゴブリンキングが逃げるよう指示した城に配属されているゴブリン、全員死んでいるのか動いている個体は確認できない。


「安心しな、交渉に使えるよう殺してはいない。みんな優秀な防具だったからいい具合に手加減できたよ」


 ゴブリンキングはゴブリンリーダーたちに指示を渡した後、全てのゴブリンを逃がすための時間稼ぎとしてロクと話している間にワンが歪む空間へと向かうゴブリンたちをすべて倒したと予想する。さらにワンの方も光に匹敵する速さで行動できるだろうから一瞬で全員を気絶させることくらい容易いだろうと推測する。


「流石の早業……しかし残念、仮にこの場にいる同胞をすべて葬ったとしても我が同胞は世界中に点在している。ゆえに余を倒すことは不可能ということだ」


「確かにダメージを与えられないという能力自体は普通に考えて強いと思うよ、けど…………


 そう言って不敵な笑みを浮かべるロクの体が赤と黒の美しく見惚れてしまいそうなほど幻想的な光のオーラのような何かに包まれる。

 その光は外側からビー玉程度の小さい光の玉となって分裂しロクの周囲を浮上しながら不規則に漂う。

 やがてロクの体を覆っていた全ての光が光球となるとそれらは一番近い光球と合わさりクリスタル状に形を変えその場に留まる。

 全ての光球がクリスタルへと形を変えるとクリスタルが一斉に割れ中から赤と黒の半透明でクリスタルのような質感の光の蝶が生まれる。

 生まれた蝶は緋色の鱗粉を撒きながらひらひらと実在する蝶と変わらないスピードでゴブリンキングの方へと飛んで行く。


「これが世に勝つ秘策か? なんとも拍子抜けだ──、」


 蝶がゴブリンキングに触れる刹那、直感的に命の危機を感じ取り体格に見合わない身軽なステップと身のこなしで接触を回避する。

 さらにはさっきまで仲間の逃亡失敗を見てもなお余裕しゃくしゃくだった顔が今では焦りと恐怖に満ちていた。


「はぇー図体の割に素早いね」


「お主らいったい何者だ」


「さぁ何者でしょうか」


 ゴブリンキングの質問に質問で返すロク、ワンと一緒に玉座の間を埋め尽くす勢いでどんどん蝶を追加していく。

 ゴブリンキングは玉座の後ろに刺してあった自分の大剣を振り回し蝶を排除しようとするもロクの時同様、刃は蝶の体をすり抜けるだけで倒すことが出来ない。しかもこの蝶は時間が経っても消えることはなくロクとワンが生み出しつつげる限り無制限に増えていく。


「くそっ、一体何なんだ! 何者なんだお前らは!!!」


「「………………」」


 ゴブリンキングの必死の追求にロクワンは無言を貫く。その目は感情を持たない人形の様に光を灯さず、救いようのないバカを見るかの様に冷たい無慈悲そのもの。

 そしてついに逃げ場を失ったゴブリンキングの体に一羽の蝶が舞い降りる。

 とその瞬間ゴブリンキングの体が赤と黒の鮮やかな光の繭に包まれ中で徐々にその体を消滅させていく。


「じゃあね、来世を楽しんで」


 ゴブリンキングの肉体がすべて消滅すると光の繭は消え、後には王冠やマントといった身に着けていた装備だけが残った。


「調和完了。あとは外の奴らだけだね」


「もう僕がやったよ」


「流石ワン、仕事が早い」


 中庭を見ると地面を覆っていたゴブリンの大群はすべて消滅しており、残ったのはゴブリンキング同様身に着けていた物のみ。


「でもやっぱり調和するとコアが入手できなくなるね」


「人間と違ってモンスターはコアが魂そのものだからね、こればかりは仕方ないよ。この星の寿命を少し伸ばしてイアへの負担が軽減されたと思えば私たちとしてはプラスでしょ」


「そうだね、討伐の証明は王冠でも持っていけば多分何とかなるだろうし、外に散らばってる装備も売ればそこそこの値段にはなるんじゃない?」


 そうと決まれば中庭に降り立ちゴブリンたちが残していった武器や防具、アクセサリーをバックパックの中に入れていく。

 このバックパックには空間魔法が施されており中は五次元構想となっている。購入時は四次元空間が十個用意されており四次元空間一つにつき一種類まで入れられる。

 しかも四次元空間は十個目に何かを入れると新規で新しい四次元空間が生成され十一個目が埋まると十二個目が十二個めが埋まると十三個めがと言う風に無限に空間が増えていく仕組みらしい。

 ゆえにリュック入れることさえできれば無機物だろうと生き物だろうと現象だろうといくらでも収納することが出来る。

 さらにリスト機能も付いているらしく手を突っ込むと今まで入れたモノが投影魔法で空間上にリスト表示され、突っ込んだ状態で手を上下左右斜めに動かせば選択枠が手を動かしたほうにズレる。

 あとは取り出したいアイテムに選択枠を合わせて掴むように引き抜けば取り出すことが出来る。

 中のモノは怪物だろうと取り出そうとする手に危害を加えられないので安全面でも優秀な代物だ。



※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※



 売れそうな全ての装備を回収し終え朝になる前に宿へ帰るべく白黒に歪んだ空間魔法の前に立つ。


「結局この空間魔法って誰が張ったんだろうね?」


「ゴブリンは全然魔法使うそぶり見せなかったしやっぱりこの国の人間なんじゃない?」


「かもね。さてと…………どれから出てきたっけ?」


「えぇっとねー……忘れたww」


「よしっ手あたり次第行こう」


 空間魔法で洞窟最深部まで戻り、来た時の道のりを覚えていなかったため光速で残党のゴブリンをもう一つの方法で調和しながら洞窟中を駆け巡りだ出するとそのままノンストップで街の近くまで帰って来る。

 外はもう朝日が登り始めており、情報を聞き出すためとはいえ今回のクエストに多くの時間を消費したことを実感する。

 クエストは一応クリアという事だったので報酬金と装備の換金を済ませ宿へと戻る。

 大した成果ではないが、今回得た情報をイオオニにも共有しベッドに入る。それと同時に全身をどっと疲れが襲いロクワンはすぐに眠りへと落ちていく。






―――――――――――――――――――――――――――――――――






≪後書き≫


はじめましての方は初めまして、ご存じの方はおはARIA。IZです。


さてさて唐突に始まった後書きですが、『紅の章』と『蒼の章』がスタートしたという事で今回から後書きとして、チカ異世の世界観についてアイテムやモンスターの詳細を書いていきたいと思います。


今回は前回、チカ異世『紅の章第1節』で登場したモンスター

【ケルベロス】について詳しく書いていきたいと思います。

※さらに詳細を知りたい方はコメントしてくれれば追記します。


【チカ異世モンスター図鑑】


≪名前≫

・ケルベロス


≪分類≫

煉獄界_脊索動物門_哺乳網_モンスター目_魔獣科_魔犬属_ケルベロス種


≪特徴≫

・一般的な大型犬のフォルムに犬の頭が3つ生えている。頭が3つ生えているためか普通の犬型のモンスターに比べ胸部が太い。

・体毛は黒か紺色。

・核(コア)は普通のモンスターと違い3つある頭のどれかに入っている。※個体によって入っている頭は違う。


≪ステータス≫(11段階評価)※0~10

体力・・・2

攻撃・・・3

防御・・・1

魔力・・・2

素早さ・・・2

知性・・・1


≪能力≫

【煉獄の番犬:アンチメテンソ・マトースィス】

ケルベロスの直接的な攻撃によって命を落とした生命の魂は煉獄に幽閉され転生することが出来なくなる。


≪大きさ≫

一般的には全長10メートル前後、高さ3メートル前後。記録に残っている最大の個体は全長15メートル、高さ6メートル。

牙の大きさは平均30センチメートル爪は50センチメートル前後。


≪食性≫

純度の高い魔力を持つ生命を好んで食べる。また地獄の番犬でもあるため魂そのものを食すことも可能。食べられた魂は煉獄へと堕とされ転生することは無い。


≪コアの値段≫

一つ1万ゴールド。過去最高額は一つ10万ゴールド。

※コアが発する魔力の純度によって値段が上がる。




この作品はあくまで二次創作ですのでこれを機に本家さんを好きになってくれる人がいたらうれしく思います。


それでは次回

【チートしかいないカオスな異世界でも平和に暮らしたい。】

蒼の章第3節:倒せない最弱モンスター

紅の章第3節:真逆の二人と入団試験

それぞれの後書きでお会いしましょう。


リフで昇天

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