11 決戦(後)
ローダス島攻防戦の最後の海戦は、ヘメタル歴1521年の11月18日早朝、その日の出とともに始まった。ドルク艦隊は水平線上に太陽を背にした巨大な船影を見たのだ。北寄りの弱風の中でその帆船は横風を帆にはらみ、舳先をまっすぐ西――つまり、ドルク艦隊へと向けていた。
「敵影発見! 帆船1! 太陽の中にいます!」
「帆船が1隻、だと?」
第2艦隊司令は甲板に走り出ると、目を細めて太陽を睨みつけた。眩しくて詳しくは分からないが、確かに太陽の中に影が見えた。
「帆を畳め! 櫂走に切り替えろ!」
「
水夫たちが走りだして帆を畳むと、それと前後して階下から太鼓の音が響きだした。
「見張り員! 帆船の周りに敵が居るはずだ! 警戒しろ!」
「了解!」
やがて太陽が水平線を離れると水面の見通しも良くなった。第2艦隊司令は望遠鏡を取り出すと、視界に太陽を入れないように慎重に前方の帆船へと向けた。
――でかいな。報告にあった帆船か?
生き残りの報告では、おそらく網で一杯になっていたであろう海域を一隻の巨大帆船が動き回っていたということだった。目の前にいるのがその船だろう。
「敵影発見! ガレー船およそ40! 東5km! こちらに向かっています! 帆船は距離3km! これもこちらに向かっています!」
報告を聞いて司令は考えを巡らせた。
――あの船が網を撒いているのか? だがそれでは広範囲には撒けないはずだが……
不審に思った司令は、前回の戦いの報告を思い出した。そういえば前回の戦いでも、罠は戦いの前に仕掛けられていたのだ。
――敢えて罠の上を通ってみせることで、罠がないと思わせようとしているのか? なるほど、報告を聞いていなければ引っかかるところだった。この海域に文字通り網を張って待ち構えていた訳か!
「全艦停止! 信号旗を上げろ! ギリギリまで引きつけるぞ!」
太鼓が鳴り止み、ドルク艦隊は停止した。
一方、その巨大帆船――ゲルトルート号では、マストの上に立ったイゾルテが白いラッパ{拡声器}を使って怒鳴っていた。
「皆の者、聞いてくれ! 此度はこのままゲルトルート号が先陣を切る。敢えて1隻でだ。当然多くの敵船が衝角を突き入れて来るだろう。
だが、安心して欲しい。この船は2つ3つ穴が開いても沈まないように作ってある。この船の船倉が小部屋に分けられていることは皆知っているだろう。船荷を移動させるのに邪魔だと思った者もいただろうが、あれのおかげで外壁に穴が開いても、水が他の部屋にまで入っていかないんだ。
しかも今日は、荷を移して船を軽くしてある。だから安心して戦って欲しい。さあ、敵は1kmまで近づいているぞ!」
ドルク艦隊でも近づく敵に緊張が高まっていた。
「帆船まで距離1km! ガレー船団までおよそ3km!」
重圧に押しつぶされそうになりながら第2艦隊司令は必死に考えを巡らせた。
――このまま待っていては、こちらが十分に加速できないまま敵ガレー船にぶつけられることになる……
このまま正面衝突するのならどちらの速度が大きかろうと同じことだが、実際には速度が速い方が舵が利きやすいので有利な衝突コースを選ぶことが出来る。仮にこちらが今のまま全く動かなければ、敵はぐるっと回りこんで横っ腹に衝角を突き入れてくることだろう。そうなれば被害は一方的なものになる。だからといって加速した場合、そこに罠があるのなら第1・第3艦隊の二の舞になってしまうだろう。
――動くべきか、動かざるべきか……
随分と分の悪い賭けである。賭に負ければ即敗退なのに、賭に勝っても海戦が仕切り直しになるだけなのだ。
――む、待てよ? 今動き出せばここから1km以内で激突するはずだ。そんなに近くに罠があったのなら、わざわざあの帆船が向かってこなくても我々は罠にかかっていたのではないか?
その瞬間、彼の頭の中の霧が晴れた。
「罠は無い! いや、我々を疑心暗鬼に陥らせて足を止めさせることこそが罠だったのだ!」
まんまとしてやられた格好だが、今から加速すれば致命傷とはならないはずだ。まだ取り返しが付く!
「全速前進! 信号旗『我に続け』だ!」
「宜候!」
再びドン、ドン、と太鼓の音が響き渡り、旗艦はゆっくりと前進を開始した。
「提督、両翼は宜しいのですか? 数に勝る我々は、両翼を延ばして半包囲を試みるのが順当ですが」
「いや、敵に両翼が無いということは、むしろそこに罠があるのかもしれぬ。当初の予定通り真っ直ぐぶつかって乱戦に持ち込む!」
ドルク軍のガレー船は力一杯加速したが、距離が足りず最高速度までには至らないまま目の前にいた敵巨大帆船と衝突した。衝突の直前に帆船が僅かに面舵をとったため、5隻のガレー船がその左舷に衝突し、そのうち2隻の衝角がその船腹に穴を穿った。
「よし、帆船はこれで沈んだな」
既に第2艦隊司令の意識は、敵の主戦力であるガレー船団へと向いていた。
衝突の勢いで大きく揺さぶられたゲルトルート号では、イゾルテがマストから振り落とされながらも命綱にぶら下がって叫んでいた。
「案ずるな、この船は沈まぬ! いや、船と思うな! 今からこの船は島となる! 撃って、撃って、撃ちまくれっ!」
その言葉を聞いて、投石機は脇を通り過ぎるガレー船に投網を撃ちかけ、大弩は衝角を突き入れた敵船に大矢を撃ちかけた。甲板にずらりと並んだ水兵たちも弓や弩を放った。衝突による浸水で確実に喫水が深くなっていたが、それでも甲板の位置はドルク船より身長の倍ほども高かった。一方的に射すくめられたドルク船は慌てて後退しようとしたが、今度はそこに投網を投げかけられた。
こうして隊列を乱した敵前衛に、ゲルトルート号を追ってきたプレセンティナ艦隊本隊のガレー船37隻が衝角を突き入れた。このうち約半数が敵に激突し、ドンッ、ドカッという鈍い音を響かせた。残りの半数は敵の間に割って入り、ゲルトルート号の近くまで乗り入れていた。勢いは明らかにプレセンティナ側にあったが、ドルク軍の思惑通り戦況は敵味方が入り乱れた完全な乱戦に陥っていた。
イゾルテは再びマストの上によじ登ると、小型の遠くと話す箱{トランシーバー}を取り出した。
「爺、本隊が戦闘を開始した。敵前衛艦隊と乱戦に陥っている。そろそろ突入させよう。命令していいか?」
『ええ、お願いします』
イゾルテは小型の遠くと話す箱{トランシーバー}をしまうと、今度は大きい方の遠くと話す箱{無線機}を取り出した。かつて第2分艦隊に預けていた物である。
「第9分艦隊、第9分艦隊、こちらイゾルテ。ドウゾ」
『第9分艦隊です。出番ですか、殿下? ドウゾ』
「ああ、舞台は整った。横槍を入れてやれ。ドウゾ」
『了解です。せいぜい度肝を抜いてやりましょう。ドウゾ』
「敵は陸兵を満載しているぞ。調子に乗って白兵戦を仕掛けるなよ。ドウゾ」
『分かりました。衝角だけで沈めてやります。ドウゾ』
「通信終わり。ドウゾ」
『通信終わり』
そのころドルク第2艦隊は混乱の
「なぜだ、なぜ沈まぬ!? まさか衝角を折るほど硬いのか!?」
「提督、衝角が折れることはままありますが、その場合は弾かれます。ですがあの2隻は弾かれておりません。確実に穴が2つ空いているはずです」
「それなら、なぜアレは沈まぬのだ!」
司令が睨みつけたその巨船は、未だに傾くこともなく激しい射撃を続けていた。マストに目をやると、そこには白い人影があり、さらにその上にはプレセンティナの白い国旗と見慣れぬ青い旗が掲げられていた。
「まさか……」
望遠鏡を目に当てた司令は驚愕して叫んだ。
「見よ、あの船には皇家の旗が上がっておる! ただの船ではない、この艦隊の旗艦というだけでもない。あれにプレセンティナの皇族が乗っておるのだ!」
司令は戦いの興奮のためか、不甲斐ない部下たちに怒っているのか、真っ赤な顔で周囲に向かって怒鳴り散らした。
「沈めろ! 沈めるのだ! ええーい、いかに巨大とはいえ、たかが帆船如きに何を手こずる!」
だが第2艦隊は既に無視できぬ打撃を受けており、そして受け続けていた。最初こそ対等の数であったはずが、今や敗色濃厚だったのだ。だがそこに後衛の第4艦隊40隻が割って入ってきた。再びドルク軍が優勢となったと思われたその時、マストの上から悲鳴が上がった。
「左舷に敵影! ガレー船およそ30! 距離3km!」
思わず船べりに身を乗り出した司令官は、それが幻ではないかと何度も目を擦った。
「なぜだ、なぜまだ敵が居る!? 先の戦いで40隻まで減っているはずではないか!! ええーい、なぜ3kmまで気づかぬか!!」
だが見張り員も40隻しかいないと聞かされていたのだ。だからこそ「もう他に敵はいない」と思い込んで、左右の警戒を怠ってしまったのである。
側面を晒したまま突入されれば、それで勝敗は決してしまう。しかし、第2艦隊は敵と乱戦に陥っていて、退こうと思って退けるものではなかった。第4艦隊にこそ一旦下がって左の敵に備えて欲しかったが、この乱戦では連絡の取りようが無い。
にっちもさっちもいかずに歯ぎしりしていた司令が、ふとゲルトルート号に目を留めた。
「……アレだ。あのデカブツさえ沈めればこちらの勝ちだ! 何としてでもアレを沈めるのだ! 本艦も突入せよ!」
イゾルテはマストの上から全てを見ていた。後衛が到着して激しさを増した敵の攻撃が、第9分艦隊の接近でますます激しくなっていた。どうやらドルク艦隊は、守りを捨てて旗艦のゲルトルート号を沈めることに活路を見出したようだった。だが群がるドルク船が互いに邪魔になって十分な加速も出来ず、ゲルトルート号に再び穴が開く気配はなかった。
第9分艦隊が突入する直前、間に合わぬと悟ったドルク艦10隻ほどが自主的に舳先を左舷に向けて正対させたが、既に最大にまで加速していた第9分艦隊32隻はこれを簡単に跳ね飛ばした。そして横腹をさらしていた他の艦は次々に船腹に穴を開けられ、沈んでいった。
勝負はその一瞬で付いた。この一撃で20隻近くのドルク艦が沈み、その中には第4艦隊旗艦も含まれていたのだ。
戦況は既に、数の上でも勢いの上でもプレセンティナが優勢に立っていた。プレセンティナ艦隊の精神的な支柱であるゲルトルート号はその戦場の真中で苛烈な攻撃を受けながら小揺るぎもしていないが、一方でドルク艦隊は完全に浮き足立っていた。その様子を指を咥えて見ているしかなかったドルク第2艦隊司令は、船べりに拳を打ち付けると撤退を命じた。
「信号旗を上げろ! 撤退だ! ただし、本艦は最期まで踏みとどまる! もう一度あのデカブツに突撃だ!」
ぱらぱらと離脱していくドルク艦を見て、イゾルテは小型の遠くと話す箱{トランシーバー}を手に取った。
「爺、敵が逃げる。だが、深追いはせぬほうが良いと思う」
『何故です? 罠でもあるとお考えですか?』
「いや、面倒な奴らにはローダスから出て行ってもらいたいからな。無傷のガレー船を10隻か20隻ほど残しておいた方が良いだろう。帆船だけでは怖がって出て行かないかもしれん」
『……捕虜に出来れば手柄になりますが?』
「小さな手柄だ。もう十分だろ?」
『では、ガレー船を逃した上で海上で待ち伏せにするという手はどうでしょう? アフルーク方面に網を張れば、恐らく大魚が捕まえられますよ』
「いや、我々だけが手柄を上げてもムルス騎士団の面子を潰す。ヘソを曲げられると戦後処理が面倒だからな」
ムルクスは息を呑んだ。
『……戦後処理までなさるおつもりですか?』
「そのための戦争だろう? 今からそれを始める」
イゾルテは白いラッパ{拡声器}を掴むと、いつもの降伏勧告を行った。
「ドルク艦隊に告げる。私の名はイゾルテ・ペトルス・カエサル・パレオロゴス。プレセンティナ皇帝ルキウス陛下の娘にして名代である。
既に勝敗は決した。勢いだけでなく、既に数においても我々が優位にある。それはこの場に限ったことではない。もはやローダス島にも、ドルク本国にも我らに勝る艦隊は存在しない! 我がプレセンティナ帝国こそがメダストラ海の覇者であると知れ!
武器を捨て、国旗を下ろせ。今降伏すれば、我が名において寛大な処置を約束しよう。我々は既に120隻以上の降伏を受け入れているが、死んだものはいない」
第2艦隊旗艦の最後の突撃は加速不足で穴を空けるには至らず、ただマストの上の皇女をふらつかせるに留まり、司令官はそのまま皇女の足元で降伏勧告を聞かされることになった。屈辱に震えた彼は怒鳴った。
「大弩だ! 大弩でアレを、皇女を討て!」
だが、舟を狙うための大弩では空を狙うことは出来なかった。
「あの角度には射てません!」
「えぇい、では普通の弩でいい。それを貸せ!」
司令は近場の水夫から弩を奪いとると、皇女に向かって射ち放った。ほとんど鳥を撃つような角度である。その矢は山なりに飛び、勢いを失いながらもその白い軍服の胸に突き刺さった。本人も当たると思っていなかったのでビックリである!
「おおぉぉぉぉ! 奇跡だ! 我らにはムスリカの神のご加護があるのだ!」
まさに奇跡である。司令が感極まった叫び声を上げる中、皇女は突き刺さった矢を掴んでポイっと放り投げた。
「えっ?」
矢が刺さったのに彼女は平然としていた。まさに奇跡である。
「右舷前方のドルク艦には降伏の意思がないと判断する。攻撃を再開せよ」
皇女の命令を受けて、帆船の舷側に並んだ窓から幾つもの太矢が飛んでくるのが見えた。それが司令の見た最後の光景だった。
第2艦隊旗艦が国旗を下ろすと、逃げ遅れていたドルク艦は次々に降伏していった。それを見届けたイゾルテがマストを降りると、船医と共に多くの水夫、水兵、士官までもが待ち構えていた。
「殿下、ご無事なのですか!?」
船医が興奮しながらイゾルテに詰め寄り、指をワキワキさせながら彼女の胸に手を伸ばした。イゾルテは慌てて飛び退くと、船医の尻を蹴り飛ばした。
「い、いきなり何をするっ!?」
船医は痛そうに尻をさすりながら不満気に言った。
「胸に矢が刺さったではないですか……」
「ああ、あれか。あれは軍服に刺さっただけだ。中にはこれを着ていたからな」
そういって軍服の前をガバっとはだけてみせると、兵士たちはとっさに顔をそむけたり手のひらで目を覆った。……が、指の間からしっかり盗み見た。だが残念ながら、そこにはとても色気のない藍色のチョッキ{防刃ベスト}があるだけだった。いや、だけと言ってももちろんその下には肌着を着ていたんだけど。
「これは鎧並みに刃物を通さない。小突かれるくらいの衝撃があっただけだ」
その言葉を聞いてほっとする兵士たちを見て、イゾルテは本当はズキズキと痛む胸がほんのりと熱くなるのを感じた。炎症である。……いや、それだけじゃなくて、胸の内が、心が温かく感じられたのだ。
「ほら、船医は怪我人の治療をしろ。水夫は今のうちに帆を畳め。水兵は修理だろう? 戦いは終わったが、仕事が終わったわけではないぞ!」
イゾルテは叱咤しながらも、溢れるような笑顔を見せた。
その後イゾルテが捕虜の引見と一次報告を終えたころには、また夜半を過ぎていた。報告書を持ってに自室に戻ると、扉の前でムスタファが待っていた。
「どうしたムスタファ。船を壊した恨み言か?」
アドラーやムスタファを始めとした船大工達は、ゲルトルート号の応急修理にかかりきりになっていた。日が沈むと水中作業ができないので、今は水兵が排水作業に勤しんでいるはずだった。
「恨んだりしてませんよ。俺は自分で選んでここにいる訳じゃないですが、今の境遇に満足しています。姫様が謝る必要はありません」
「そうか、なら明日からも扱き使ってやるからさっさと休め」
そう言ってイゾルテが扉に手をかけようとすると、ムスタファはそれを遮った。
「まして兵士たちは自分で選んで戦場にいます。姫様がいちいち謝っていてはいけないと思いますよ」
それが何のことを言っているのかに気づいて、イゾルテはいつになく狼狽えた。
「聞いていたのか!?」
彼女は子供の頃――といっても5年ほど前のことだが、叔父の死に責任を感じて叔母に懺悔したことがあった。叔父が戦死したドルク軍への逆撃が、自分が父に貸した望遠鏡{双眼鏡}のせいで行われたのだと何かの拍子に知ったのだ。
――私が望遠鏡{双眼鏡}を貸さなければ、叔父上は今でも生きていたのではないか……?
今となっては馬鹿馬鹿しい話だが、当時のイゾルテはそれを深刻に受けとめ、叔母に告白して謝罪したのだ。
「あなたのせいではないわ」
当然叔母はそう言い、イゾルテはその言葉を聞いて胸の支えが取れた。だがそれ以来、イゾルテは叔父の死とは直接関係のないところで漠然とした罪悪感を抱いていたのだ。だが今、彼女はその正体に気づいた。
――私は楽になりたがっていただけなのではないか? あの時叔母が許してくれることを分かっていたんじゃないか? 戦いで死んだ兵士たちも、おそらくは私を恨んではいまい。私は自分が満足するためだけに許しを乞うていただけではないのか……?
あらゆるものを利用して国を守り続けるのが皇族の勤めだ……と、イゾルテは思っていた。ならば、イゾルテが捨て去った罪悪感すら利用しなければならなかったのではないだろうか?
――薄暗い罪悪感を一生胸に抱き続け、それを活力として国を守り続けるのが皇族の勤めだということか……
だからムスタファは謝罪をするなと言うのだ。皇族が
――そうだ、私は謝罪すべきではない。私は……感謝すべきなのだ!
イゾルテはフッと笑みをこぼした。
「元海賊に諭されるとはな……」
そして彼女は姿勢を正すとムスタファに頭を下げた。
「ありがとう、ムスタファ。確かに私が謝るのは間違いだった」
「え? えぇ、どういたしまして。分かっていただければそれで結構です」
あっさり納得したイゾルテに何か釈然としない物を感じながら、ムスタファは自分の大部屋に帰って行った。
「レナート・セッティ、エウヘニオ・トレド、カルリトス・フロレス、ヴィエリ・コルンブロ、ラルス・マッテゾン、ありがとう。
ヴィエリ・ボッカチーニ、クリスピーノ・チェルレーティ、ホラーツ・ハルトヴィヒ、タッデオ・ソスピーリ、感謝する。
ドナテッロ・ペッツォーリ、パキト・アコスタ、ジャンルカ・アルトベッリ、ランプレヒト・ブラームス、後のことは任せてくれ」
結局イゾルテは夜更かしをしたが、翌朝の彼女の顔は晴れやかだった。
この日の戦いの戦果は、ドルク艦87隻のうち推定で撃沈41、大破なし、中破8、小破多数、鹵獲21。逃走を許したのは、中破小破を含めて26隻。鹵獲艦艇のうち5隻は大破、2隻は中破、9隻が小破であった。(ただし、大破したものは全て逃げきれなかったので鹵獲に計上している)
一方プレセンティナ側の被害は、撃沈12、大破4、中破7、小破15。撃沈は全て本隊が負った被害であり、第9分艦隊は1隻も沈まなかった。ちなみに、大破のうちの1隻はゲルトルート号であった。
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