第152話ゆきふりて 人もかよはぬ みちなれや

雪のふれるを見てよめる

凡河内躬恒


ゆきふりて 人もかよはぬ みちなれや あとはかもなく 思ひきゆらむ

                       (巻第六冬歌329)


屋敷の前には雪が降り積もり、とても人が通って来れないような道になってしまったようです。

それだから、この私には訪れる人などありえません。

結局は、私の思いも、あとかたもなく消えてしまうのでしょう。


雪が降り、あの想い人は来てくれない。

だから、雪の上に足跡がつくこともない。

雪が解けて消えたとしても、そもそも何もない。

自分自身のあの人への思いも、解ける雪とともに消えてしまうのだろうかと、とりとめのない不安を詠む。





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