第12話大空は 恋しき人の 形見かは

                    酒井人真


大空は 恋しき人の 形見かは 物思ふごとに ながめらるらむ

                  (巻第十四恋歌四 743)


大空は、恋しき人の形見なのでしょうか。

物思いをするたびに、つい眺めてしまうのですが。


物思いをするたびに、大空に恋人を思う。

面影が浮かぶのだろうか。

この心理は、現代の日本の流行歌にも、よく出て来る。

身近にはいない人、なかなか逢えない人だから、空のかなたに面影を見る。

そんな切なさは、古代でも現代でも、全く変わらない。


酒井人真は、生年は不明。延喜十七年(917)、没。勅撰入集は古今集に一首のみ。




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