2
足の裏がすごく冷たかった。この廊下は床が冷たい。まるで氷で作られているようだった。試しに前足の裏を確認してみると、僕の肉球は真っ赤に腫れていた。それを確認した僕は四本の足をできるだけ均等に使うことで、なんとかその冷たさを回避しようとしたのだけど、それはあまり意味がない行動だったようだ。僕の四本の足はすぐに四本とも真っ赤になって、ついにはなんの感覚も無くなってしまった。だから僕はしばらくの間、廊下を歩くことを諦めなくてはならなくなった。
僕は体を丸めて廊下の真ん中にじっと座り込んだ。寒さは相変わらずで、だんだん足だけではなくて、僕の体全体の感覚が失われていった。きっと、そのせいなのだろう。僕はなんだかとても眠くなってきてしまった。
……夢を見ているということは、僕はもうすでに眠っているはずなのに、その夢の中でもまた眠くなってしまうなんて、……僕はそんなに眠ることが好きだったんだろうか? と、僕はそんなことを不思議に思った。
それとも夢の中で眠るという行為は現実への帰り道なのだろうか? それはありえそうな話だった。現実の世界で眠りにつくことによって夢の世界へと移動した僕の意識は、夢の世界の中で眠りにつくことによって再び現実の世界へと回帰する……。そういう仕組みでこの二つの世界は繋がっているということだ。……うん。悪くない考察だ。それはいかにもありえそうな設定だった。きっと神様がそういう風に、この世界の仕組みを作ったに違いないのだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます