第43話 【カエルとおばあちゃんと秘密のヒーロー】

  今日はお盆。


 パパに逢えなくなってから


 五回目の夏……


(パパ……心が痛いよ。苦しい。逢いたいよ……)



 私ね、不器用すぎて。人間関係でいつも躓いちゃうんだ。



 ホントね。 自分で自分が嫌んなっちゃうよ……


 最近の自分は 、メンタルが弱っていて泣いてばかりだよ。


 パパ。



(お盆でパパを迎えに来たんだ。 泣き顔なんて見せちゃだめ! 笑顔でお帰りなさいって、向かえなきゃね!)




(あれ? カエルだ……)


 墓石の上にね、ちっちゃな緑色のカエルが チョコンと乗ってるの。


 不思議なんだ。


 だって。



 ずっとずっと。


 カエルと目が合わさったままなんだもん。


 カエルからなぜか、目が離せなかったんだ



 その後ね、ママと○○(兄弟)と、父方のおばあちゃんの病院にお見舞いに行って。



 おばあちゃんがね、ジッっと私の顔を見つめているの。



(あれ? この感じ何だろう?)



 見つめているのは……


 おばあちゃんではなく……


(あ! パパ?)



 パパの訴えかける表情に見えたんだ。



 しばらく見つめ合ってたの。


 おばあちゃんが静かに泣いてるの。


 一筋……スーッて頬に涙。


 泣きながら私を抱き寄せるとね……


『今の仕事頑張るんだよ。お前はそのままでいいんだよ』


 そう言ってくれたんだ。


 でもね。


 話し方も。表情も。


(パパ……?)


 パパなの。


 だって、おばあちゃんが知らないはずの事が……


 おばあちゃんの口から語られたんだもん。



 パパの想い。



 亡くなってから5年後の……


 5年越しの想い。


 久しぶりに。


 パパの声が聞けたんだ。


 涙が止まらなかったよ……


 私もパパにね、ギュッてしたんだ。


 やっぱりね! 


 パパは私のヒーローなんだ! 


 いつだって私がピンチの時は、そっと近くに寄り添って来てくれて。


 一晩中だって、私の 話に黙って耳を傾けてくれて。




 私の事ね、否定しないで認めてくれたんだ。



『 お前は、イチガイコキ(一概濃き)で困った子だね。泣いてばかりで。でも感受性が豊かだからだね。 心の優しい良い子だよ』


 パパの魔法の言の葉。


 私の頑張る為の。


 頑張れ無くなった時のね、モチベーションなの。






《なんだかね


 良いトコよりも


 悪いトコね


 探す世の中


 なんだろね》



 生きずらいよ。


 パパ……





 けどね。 パパと話をしてから。



 こう思えるようになったんだ。


 パパはいつも私の傍にいてくれる。見守ってくれているから頑張れる! 


 目に見えなくたって


 心の中に生きているんだ! 


 って。



 それからはね。


 今度はどんな形でパパに 逢えて。どんな話が出来るかな? 



 って楽しみになったんだ。



 パパと私の秘密だよ! 



 私にとってね。


 パパは


 秘密のヒーローなんだ! 









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