はながり
大殿様に、花狩りをしてほしいと言われた。
なんでも咲き終わったからと言うことだ。
して、見てみると花は枯れて黄土の枝と葉のみで、花の面影もない。まだ生きてはいるが醜い姿であるし、夜中に出会うと叫びをあげるものもいるだろう。
「幽霊だ」と。
とりあえず並んでいる順に枯れた花を切り落とす。
長い廊下の全てを狩らねばならぬので、どうしても花たちが逃げるのだ。
しかしここは出口はない。花ならば環境の良い場所で育てねばならない。
自然と出入り口は一つであった。
逃げる、逃げる、ひとつ、ひとつ、花を狩る。茶色で醜い花弁を切り取り、すっきりさせる。あとでハサミの整備をしなければ錆びてしまうなあ。
ただ花であった部分を切るだけなのに逃げる逃げる。
どうせ、また生えるのに、なぜ逃げる。
顔が変わるだけよなあ。
奥の奥まで、隅々と花狩りをした。
綺麗な小さい花弁もあったが花狩りだ、いらぬだろう。
そうして終わり、報告をするために出口へと向かった。
「このっ」
意外、その細い枝で私を刺した。
意外や意外。そのまま振り返り花を狩る。
背を刺されたが、まあいいだろう。狩るものなど私以外にもいるしなあ。
とんだ花狩りよ、ろくなことがない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます