私の働き方改革
育児休暇中の職場に、書類提出と挨拶がてら行くことになった。
私はとある日本語学校の教師をしている。
職員室に挨拶くらいなら、郵送でやればいいのだが、担任をしていたクラスの子たちからの熱いお誘いで、息子を連れて行くことになった。
日本人より彼ら外国人の方が、家族愛にアツイ。
だからこそ温かく産休に見送りだしてくれたし、産まれたときも、湧水のように次から次にメッセージが来て嬉しいし、可愛いと思った。
何より、今年3月で彼ら卒業なので、復帰の時にはいない。今のうちに何度か会っておかなければ、寂しい。
彼らもずっと会いたがってくれてるようなので、その期待に応えるべく、息子、初の国際交流。
手土産を買うときに、人数確認のため、学校のFacebookにログイン。
ログインしたまま過ごしてて、学校あてのメッセージで気がついた。
そういえば私のいないあと、どんな感じにみんななってるんだろう。進路とか悪いことしてないかとか、なんか知りたいな。
と思い、授乳中に簡単にメッセージをチェックしてみる。
相変わらず熱中症な私。
やめられず、あっという間に片乳の時間が過ぎ、反対へ。
続けて見ていたら息子がなんか苦しそう。ゲップをさせてまたスマホに目をやる。
今度は息子、珍しく1分くらいで飲まなくなった。
縦抱きにして背中さするも、暴れて唸る。
そこでふと気付かされた。
私がいなくなったあと、通常運行で回る学校や彼らの生活。それを覗き見る私。
私がいなくなったら、一人で食事もできない。ゲップだって補助しないと出しにくい。要望や不満不安を泣くことでしか表現できない息子。
誰かに助けてもらなければ生きていけない息子。
今ここには私しかいない。
どちらが大事だろうか。
興味や好奇心も大事だろう。
でも、目の前の懸命に生きている息子の様子を、ちゃんと見てあげるべきなのではないだろうか。
また反省した。
そして反省しながら、これを書き綴る私。
片目でちゃんと見てるよ?
懲りないなぁというか変われないなぁというか。
子供が話しかけてるときに、料理中で、『今忙しいからあとにして』という親にはならないって決めてたのに、まだ喋らないし、記憶も残らないだろうし、目が合っていないからってなめてたのかな。
ごめんね、愛してる。
そう考えると、育休復帰も職場に合わせなくて、息子の慣らし保育や体調優先にしてもいいだろうし、復帰後の勤務も、時間内で終わるよう、やりすぎを排除していこうと決意できてきた。
仕事なんて、やりだしたらどれだけでも工程を増やせる。
どれだけでも先回りして準備できる。
でも、それって自己満足じゃないか?
学生のために調べて、うまく説明できるように、わかりやすいような授業を準備しておくのは必然。
でも、テストをわざわざ自作したり、採点の際、どこが違うか細かく紙に書いて説明して返却したり、小道具を作ったり...そんなことは学生が求めてることだろうか。
プロが作った問題を拝借し、検定合格のための練習にする。
どうして間違ったのか、聞きにきたり自分で調べるよう、自発性を促す。
クオリティの低い自作小道具を使うのではなく、インターネットで手に入るものや、身近な代用品を使ってできないか考える。
手間を省く。そしてかけるべきところに手間をかける。
それは人を育てること。
人とのコミュニケーション。
話を聞くこと。
そこの手間は惜しんじゃいけない。
いつでもフリーで動けるように、話しかけられたらいつでも応えられるように、効率よく仕事を終わらせて受ける準備をしておく。
それが信頼じゃないだろうか。
20代の最初の職場のときとは、考え方がだいぶ変わった。
私はそれはいいことだと思う。
お客様のために、小さいこだわりを積み重ねて尽くしていく。それもいいけど、気付かれないことが多くて悲しかった。自分で言うのも恩着せがましいし、人によっては嫌がられたりする。
長く残業する時代は終わった。
早く帰って息子と過ごそう。
仕事中は学生と過ごそう。
一人、職場に必ず定時に帰る主婦教師がいる。
とにかく仕事が早い。
やり漏れなんかないし、なんならみんながやりたくないことを率先してやろうとする。
そうして仕事が増えて大変だろうに、そんな顔は一つもしない。
本当にかっこいい。
復帰したら第二のこの人、もしくは更に上を行きたい。
さぁ、息子よ。
母ちゃん勝手にヒートアップして、書き続けてるけど、一生懸命1人で寝ようとしてる健気な息子よ。
手を握りながら、視線はスマホな母ちゃんだけど。
こんなとき、マンガ読んでてもすぐ辞めて子供に向かえる夫をちょっと尊敬。
ありがとう。今から遊ぼう。
その前にごはん食べてきていい?笑
スマホ持ってるのに、4通も来てる義母には返信しない、本能に忠実な私。
投稿や食事は、君が寝てからにするぜ、息子よ。お待たせ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます