第28話 大怪獣決戦の後片付け ①

(王太子アランside)



ピンクギドラの脅威は去った……



が、問題はその後片付けだ。

幸いピンクギドラに毒性が無かったので、周りを簡易的に幕で覆いその場で解体することになった。



えっ?マジックバックやアイテムBOXに入れないのかって?



出現当初より小さくなったとはいえ、その大きさは最大級と言われている古代竜(エンシェントドラゴン)の倍の40mはある。



あんなデカいのを入れるマジックバックなんて無いし、アイテムBOXのスキル持ちでもあんなデカいのは入らない。



この世界は魔力量によってアイテムBOXの容量が変わる様にはなってないのだ。

それに態々、王都の中に持ち込んでも場所が無いので、現場で解体する方が効率的である。

部位毎に少しずつ解体して行くのが、無難だろう。



一度視察に行って来たが、流石にリアルなピンクギドラは…笑えなかった。



「流石にこうして見ると大きいな。

元の大きさに戻って1/4か…… 」



と私が言うと現場責任者である第三騎士団の副騎士団長がピンクギドラを見上げながら、これからの予定を説明してくれる。



「各部位に解体されたピンクギドラは、一部を研究材料として【魔獣研究所】に移送することになっております。


部位毎なら収納が可能ですので。

まぁ流石に首と胴体はバラすしかありませんが……

現在ミスリル製の剣に状態保存の付与魔法を掛けて 、冒険者ギルドの解体専門の者とS級冒険者の切断スキル持ちで無理矢理バラしている状態です。」


「だろうなぁ…大変だろうが頼むぞ! 」


「承知しました。では次の現場にご案内致します。」



ピンクギドラ解体現場の次に向かったのは、勇者シルバーとの戦いの最中に剥がれ落ちた鱗などを集積している場所だった。



「デカいな。コレ1枚で盾が何枚も作れる。

いっそのこと大楯部隊の盾をコレにするか?」



と私が提案すると、副団長はため息を吐きながら……



「王太子殿下…残念ながら、王都の職人ギルドの話しでは、『コレを加工するのは無理。』だそうです。

やはりミスリル製の道具を使ってもヒビを入れるのがやっとだそうで……

『小型化した(それでもかなりデカい)ピンクギドラの鱗を使って、大楯を作ることなら可能かもしれない。』ということですが、如何でしょうか?」



なるほど…確かにあの頑丈さだと加工するのは難しいか……



「一応、魔道具研究所(魔道研)にも持ち込んで加工出来ないか、研究させてみよう。

とりあえず何枚か普通サイズの鱗と巨大化していた時の鱗数枚づつを職人ギルドと魔道具研究所(魔道研)に届けてくれ。」



ピンクギドラの鱗の件はとりあえずコレで良いとして……

問題は……勇者シルバーの抜け毛と髭だ。

けっこうあるな……

そういえば今…ちょうど換毛期かぁ~。

どうするかな?



けっこうあちこちに散らばってて、騎士団で回収してたら大変だろう。



「冒険者ギルドに依頼を出して、回収させるか。

この辺りに居た獣も魔獣も皆んな逃げてしまって仕事にならないだろう。」



その後、第三騎士団から出された【勇者シルバーの抜け毛回収】の依頼で、抜け毛はあっという間に回収されマジックバックに保存された。



後日その抜け毛について、勇者シルバーの飼い主ケイト嬢に問い合わせてみた。



《回収したのは良いがどうしたものか?

もし必要なら全て渡すがどうだろう?》



と手紙を送った。

すると翌日、返って来た返信は……



《復興支援にお使いください。(要らない)》



… 。


… 。



だよなぁ…知ってた~ww



《追伸 【抜け毛利用方】


①猫抜け毛ボール

(猫の匂いがして癒される。ただしデカいので飽きると邪魔。)

②抜け毛フェルト

(今回は大きさが大きさなので、マットくらいは出来そう。)

③猫毛織物

(上手く織れば布が出来るかもしれません。)


by エリー・F・ボルネオール 》



なるほど…そんな利用方があったのか!

とりあえず抜け毛を鑑定して見ると、何と聖魔法の付与が付いていた。



いける!!

コレで御守り作っって販売すれば、復興支援金を集められる!!



その前にコレ全部洗浄しないとなぁ~。

けっこう人件費掛かりそうだ。



あ!そういえば一人、居たな。

人件費無しで使える奴がww

しかも長生きで、種族的に魔力量も豊富。



確かリリエール・バキシヌと言ったか。

とりあえず全部、洗浄魔法(クリーン)掛けさせて、試しに猫毛ボールでも作らせてみるかな?




※この時作られた、巨大猫毛ボール(バランスボール大)や御守りはユイナーダ国中に販売され、後に大量発生したアンデットから人々を守る為に大いに役立ったというのはまた別の話。

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