第16話 フライア目線 アランを呼びに行く
「急がないと……」
30階層の転移門から町に戻りアランを探しにいった。
向かったのはギルドだった。アランがどこに居るかはわからないが、ギルドに行けば教えてくれるかもしれないと思った為だ。
「すまない。アラン・ギフテッドという男がどこに居るか分かるか?」
人混みの中を掻い潜り受付にたどり着いた。
「個人情報なのでそういう事はお答えできません。用があるならこちらから話しておきますが」
「それでは遅いんだ! 頼む!」
私はそう言って頭を下げた。時間が無い。教えてくれ無いのは仕方ないのかも知れない。だが……。
「では貴方はアランとどう言った関係で? 知り合いならば教えて下さればアランさんの事を伝えれますが」
「幼馴染だ」
受付嬢の質問に私は即答した。
そう。私とアランは幼馴染なのだ。小さい頃からずっと一緒に過ごしてきて、師匠のところでずっと鍛錬を積んできた。
「それは本当ですか?」
「本当だ。アランと同じ『大和の太刀』も使える」
「なるほど……」
受付嬢が考えている途中、ギルドの扉が開いた。そしてそこには見知った顔が見えた。
「アラン!」
「えっ……。フライアか!」
大きな声を上げて名前を呼ぶと、アランは驚いた様にこちらを向いた。
アランの後ろには知らない女性が一人付いてきていた。
「この町に来てたのか」
「あ、ああ。まあな」
「雰囲気変わったな」
「そ、そうか?」
久しぶりでどんな風に話せば良いか分からなくなっていた。
ってこんなことをしている場合では無い。
「アラン。出会ってすぐだが頼みがある」
「……何だ?」
真剣さを察したのかアランの雰囲気が一段と変わった。
「今から一緒に『獄炎のダンジョン』の30階層に来てくれないか」
「何かあったのか?」
「ああ。実は……」
私はここまで来た経緯をできるだけ早く、説明した。
「アイギスたちが……」
「今のままでは皆んな死んでしまう。それにこれから30階層に到達する人も巻き添いに」
「ああ。それは分かっている。だが俺が居たところで戦況が変わるとは思えない。ウェールズは強すぎる……」
確かにその通りかも知れない。あのドラゴンは今までの魔物とは比べ物にならない程の強さだ。
「あ、アランさん。行くのですか……」
後ろにいた女性もアランを心配そうに見守る。
「アイツらとは連携は取れない。——だが俺とステラの支援魔法があればもしかしたら……」
アランは何かをぶつくさと呟いていた。
「ステラ。一緒に来てくれないか。ステラがいれば勝てるかも知れない」
「わ、私ですか!」
ステラと呼ばれた女性は驚いた様に訊き返していた。
「私からも頼む! 初めて会ったばかりでこんな事を頼むのは申し訳ないと思っているが」
ステラの強さは私は知らない。だがアランが認めるほどの強さなのだ。来てもらって損はない。
「……わ、分かりました。その代わり」
私の方へ向いて耳元で小さく話しかけてきた。
「小さい頃のアランさんの事色々教えてくださいね」
「……分かった。約束する」
頷いた後、随分と余裕そうだなと思った為その理由を尋ねることにした。
「勝てる自信でもあるのか?」
「アランさんが居たら勝てますよ」
アランはよほど信用されている様だった。
「話は終わったか?」
見計らった様なタイミングでアランはそう訊いてくる。
「はい。大丈夫です」
「大丈夫だ」
「それじゃあ行く前にシェラには言いにいっときたいのだが」
また新しい女性の名前が出てきた。やはりアランはモテるのだろうな。自分では気づいていないのだろうが。
「分かった」
「ありがとう。出来るだけ急ぐ」
そう言ってシェラという人物が居る喫茶店へと向かった。
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