第7話 獄炎のダンジョン
「ふぅ……」
契約を結んでから数日後、日課になったダンジョン攻略に勤しんでいた。
しかし、まだ超級に認定されている『獄炎のダンジョン』には挑んでいなかった。
ダンジョンは初級、中級、上級、そして超級の4つに分類される。
前に挑んだ『満天のダンジョン』が初級、今、挑んでいる『青天のダンジョン』は上級になっている。
上級から超級の間で難易度は跳ね上がるため、まだ『獄炎のダンジョン』に挑むのは早いだろうと思っていたのだが。
「アラン様はそろそろ『獄炎のダンジョン』に挑戦しないのですか?」
ふとした時、シェラにそう言われた。
「そうだなぁ。行っても良いが、全然進めないだろうし」
どんなに行けても30階層が限界だと思う。一人でサクサク進めれるほど、超級に認定されているダンジョンは簡単じゃない。
「それでも10階層ごとに転移門があるんですよね? それで戻ってきたら安全なのでは? 自分の限界を図るには良い機会だと思いますよ」
「確かにな」
シェラの言葉に思わず納得してしまう。
確かにどのダンジョンにも10階層ごとに魔物が寄り付かない、いわゆる休憩スペースがある。そこに地上とをつなぐ転移門があるため、死ぬことはないだろう。
自分の限界を知っておくことも重要だ。いつかは挑む予定ではあったし、早いか遅いかの違いだろう。
「一度行ってみるか」
「はい。頑張ってください!」
シェラは胸の前に両手を出して拳を作り、俺に応援する言葉をかけてくる。
「ああ。ちゃんと素材も忘れず持って帰るからな」
「それも楽しみです。——あっそうだ! アラン様に一つ渡すものがあったんです」
思い出した様な顔を見せたシェラは大きな袋から何かを取り出していた。
出てきたのはただの布袋のように見えた。
「これは?」
「アイテム袋ですよ。ようやく完成しました。アラン様用の特製品です」
「それはありがたいな」
素直にその袋を受け取る。これで素材を取りすぎたとしても、全て持って帰れるようになる。
「そのアイテム袋はですね。貴族の家を丸々一つ入れてもまだ余裕があるほどの大容量に加えて、とても軽いので安心して使ってください」
「それは凄いな……。でも高いだろう? いくらだ?」
高くても買うつもりだったが、値段を聞いておかないとお金も渡せないため値段を訊いた。
「いえ、これでお金はもらえませんよ。素材集めも私が頼んでいることですし」
「だが……」
「なら、こう言うことにしましょう。そのアイテム袋は貸すだけ。契約が解消したら返してもらいます。それでどうでしょう?」
「……分かった」
少し言いくるめられたような気がするが、頷いておいた。シェラは頑固そうだし、ここで張り合っても得がないだろう、そう思ったからだ。
「それじゃあ、そろそろ帰るよ。明日の『獄炎のダンジョン』の準備もしないといけないし」
「そうですね。私も研究の続きをしないといけませんし」
会話もそこそこにして、俺たちは別れた。
お互いにやらないといけないことも多いため、のんびり会話を続けているわけにもいけないからな。
***
「ふあぁ……」
次の日、窓から朝日が差し込んできている中俺は目を覚ました。
一度うんと背伸びをしてから起き上がる。
「準備しないとな」
今日は『獄炎のダンジョン』に行く。準備を怠れば死ぬかもしれない。
いつものダンジョンよりも入念に準備をしてから出かけた。
「あれ? ステラか?」
「あ、アランさんじゃないですか」
ダンジョンに向かうため街から出ようとしている時、ステラを見かけた。ちょっと前の出来事なのに久しぶりに感じる。
「今日はダンジョンですか?」
「ああ」
「なんだか前と雰囲気が違いますね」
「そうか? 今日のダンジョン攻略はいつもより気合いが入ってるからそのせいかもな」
「頑張ってくださいね。力になれることがあったら、言ってくださいね」
「ああ。ありがとうな」
ちょっとした会話をしてすぐにステラとは別れた。ステラは今買い物中で急がないといけないらしい。
「それじゃあな」
「はい。また」
ステラと話したことにより、より一層やる気を出してダンジョンに向かった。
「今日の目標は30階層。絶対に行ってやる」
ダンジョン前で言葉を発し自分を鼓舞していた。顔を叩いて油断をしないように気を引き締めている。
そしてダンジョンの中へと入っていった。
ダンジョンに潜って少し時間が経った。『獄炎のダンジョン』はその名の通り8割近くがマグマで形成されておりとても暑い。
そんなことも考慮して戦わなければならない。
今は5階を攻略している。思っていたよりサクサクと攻略できている。
『エアーバースト』
『大和の太刀。龍斬剣』
風の魔法を使って機動力を上げて敵を切り裂く。これが俺の使っている戦法だ。
そんな風に戦っていると10階層の階層ボスまではある程度簡単に辿り着くことができた。
階層ボスは10階層ごとにいる門番のようなものだ。今までとは比べ物にならない強さの敵が出てくる。そのためそこを越えれるかがダンジョン攻略の鍵になっている。
そのボスを倒せば休めるスペースがあるため、そこで休憩して次の階層に行くのが一般的だ。
「ここのボスはマグマゴーレムだよな」
俺がひっそりと呟くと予想通りの敵が出てきた。
マグマゴーレム。全身がマグマのように燃えているゴーレムだ。
「まぁ。普通に勝てるだろう」
俺はいつも通りに風魔法で機動力を上げてゴーレムの方へと向かっていった。
マグマゴーレムに近づきすぎると、溶けてしまいそうになるほど暑くなる。
そのため
『大和の太刀。空斬剣』
剣を振るう事で衝撃波を作れる『空斬剣』使う。そこで僅かな傷を入れ
『アイスニードル』
氷の針でその傷を貫く。これがマグマゴーレムの必勝法だ。
マグマゴーレムが完璧に倒れ魔石になったのを確認してから、一息付いた。
そして魔石を拾い先に進んでいった。
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