第14話 混濁
溶けていく。
思考が溶けていく。
吐き気と共に訪れた無機質な平穏は僕の意識を遠くへやった。
ふわりふわり
ああ、きっとこの後重い吐き気と頭痛が来るんだと冷静になったり、なんでもできそう!と多幸感に包まれまどろむ。
彼女が好きだとかどうでもいい
彼女を自分の物にしたい?
いや ただ 思い通りにできる人間がほしい
誰か僕を救ってくれればなんでもいい
いや 目を開けた瞬間 世界が終わっていればいい
どうでもいい…
思考達がオーバードーズによって交差していく。
現実的に明日はお粥だなとか、もしかしたら空を飛べそうだとか、どうやって彼女を物にするかとか…めちゃくちゃだった。
明けない夜がないように、僕の混濁した意識も鮮明になっていく。
診察日が近かったのもあり、飲んだ薬も比較的少量だった。数時間から一日程度薬に支配されるのが落ちだった。
多幸感は最初だけで、成分が毒のように体を巡る。
鉛のように重い瞼を開け、錆びついた体の指一本一本をゆっくりと軋みながら動かしていく。
強烈な吐き気と渇きに襲われながら僕は思った。
「ゴミの日…過ぎちゃったかな…」
蓮の花が写し出されたスマホの待ち受けで曜日を確認し、さらに気分が下がった。
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