第2話 惑星旅行

学校が長期休みになった。

あたしと葉月ちゃんは、惑星旅行の計画を立てた。

ローラとメイビスは、実家に帰省するからパス。


「ごめんねー。あたし達も行きたいんだけどさー、やっぱ長期休みは帰らないといけないからさー。二人で楽しんできてよ。どこまで行く予定なの?」


ローラが言った。


「ダイヤモンド星を葉月ちゃんに見せてあげたいな。地球では珍しくて、こんな小さな粒が高値で売られてるらしいんだ。ダイヤモンドなんて、こっちじゃ全然珍しくないのにね」


あたしは答えた。


「へぇー、ダイヤモンド星かぁ。キラキラ輝いてて綺麗だよね。ところでさ、ソフィア。宇宙船は誰が操縦するの?あの辺って結構な数の隕石があって操縦しにくいよね」


メイビスが心配そうに言った。


「へ?操縦?あたしがすればいいじゃない。パイロット雇ったらお金もかかっちゃうし。だってあたし、惑星専門員だし宇宙船の貸し出しも簡単にできるし」


あたしは胸を張って言った。


「あー……」


ローラとメイビスが二人して声をそろえた。


「えっ?何?」


ローラとメイビスが、葉月ちゃんの方を向いて言ったので、葉月ちゃんが聞き返した。


「葉月……。死ぬなよ……」

「葉月ちゃん……。生きて帰ってきてね……」


「…………えっ?……ど、どういうこと?」


ローラとメイビスが可哀想なものを見るような目で葉月ちゃんを見つめた。


「ねぇ、葉月。ソフィアの二つ名を知ってる?」


ローラが葉月ちゃんに聞く。


「ソフィアの二つ名?」

「滅びのソフィア」

「滅び?そういえば学祭で歌ってる時もそんな事言ってる人がいたような……」

「ソフィアは超絶宇宙船の操縦が下手くそなの。宇宙船を沈めたその数、四十隻。惑星専門員の中で一番操縦が下手くそだと言われているの」

「ええー……」


葉月ちゃんの顔が真っ青になる。


「ダイヤモンド星までくらい大丈夫だよ。操縦はあたしに任せて」


自信満々に答えた。

ダイヤモンド星なんて、そこまで遠くないし。


それで葉月ちゃんとあたしは、ダイヤモンド星まで惑星旅行に行った。


行き道は簡単だった。順調にダイヤモンド星に到着した。

ダイヤモンド星でキラキラ光るダイヤモンドを二人で見た。


「うわぁ!!凄く綺麗!!これ全部ダイヤモンドなの!?」

「綺麗でしょー。惑星丸々ひとつがダイヤモンドだから、こっちでは全然珍しくないの」

「こうちゃんもこれ見たらビックリするだろうなー」

「削って持って帰る?」

「えっ!?いいの!?」

「別にダイヤモンドなんて珍しくないし、いいんじゃない?地球のそこら辺の土を持って帰るような感覚と一緒だよ?」

「うん!持って帰る!」


葉月ちゃんは、感動していた。

その帰りだった。


あたしは宇宙空間を漂う隕石に、宇宙船の左側をぶつけた。

宇宙船に大きな穴が開いた。

そして宇宙船から煙が出てきて操縦不能になった。

近くの大きな隕石に宇宙船を止めて、救難信号を出した。


「CQCQ。こちら惑星専門員ソフィア。宇宙船に隕石が衝突し、操縦不能。アルファ星へ帰還できません。ダイヤモンド星付近まで救助を要請します」


「もー!!ソフィア大丈夫って言ったのに、全然大丈夫じゃないじゃん!!」


葉月ちゃんに怒られた。


「ごめんってー。すぐ迎えが来るよ。大丈夫だって」


救難信号を出す事には、もう慣れっこだ。

最初はパニックになって泣きそうだったけど、四十一回目となると、さすがに余裕がある。


救助の船が来て無事にアルファ星に帰還した。

後日、役所に呼び出された。

またお前かとチャールズさんに怒られた。


「もー、酷い目に遭ったよ。ソフィアの操縦する宇宙船には、もう乗らない。次に惑星旅行に行く時は、パイロット雇って行こうね」


葉月ちゃんは、もうあたしの運転する横に乗るのには、懲りたらしい。


く、悔しい……。

そんな事を言われたら、あたしはもっと運転が上手くなりたいと思った。


あたしは、苦手な宇宙船の操縦の特訓を密かにする事に決めた。

絶対に上手くなってビックリさせてやるんだから。


操縦のコツって誰に聞けばいいのな。

あたしの知ってる人で宇宙船の操縦が上手い人なんているかな……。


うーん……。

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