第312話:試練の結果は?
「3人とも、そろそろ起きるにゃ!」
真備の声に、気を失っていた重清達は重い瞼を開いていった。
「あれ?おれ達どうしたんだっけ」
重清がそう言ってキョロキョロと辺りを見回していると、
「3人がたっぷり遊んでくれたお陰で、ウチの具現獣達も満足してくれたにゃ!」
真備は嬉しそうに重清達に笑みを向けた。
「じゃぁ・・・・」
聡太が真備の顔を覗き込むと、
「3人とも、『獣装の術』との契約を認めるにゃ!」
真備はそう言って3人の顔を見て笑った。
「「「よっしゃぁーーーっ!!」」」
真備の言葉を聞いた3人は、先程までの疲れを忘れたかのように飛び上がった。
「とはいえ、重清君以外の2人は、具現獣がいないにゃ?具現獣と契約するまでは、術は使えにゃいぞ?
それなのになんで2人とも、この術と契約したかったのにゃ?」
真備が不思議そうに聡太と恒久を見ていると、聡太が懐から卵を取り出し、これまでの経緯を話し始めた。
「にゃんと!?具現獣の卵にゃ!?
いや、それにも驚くけど、その先輩へのプレゼント、面白そうにゃ!私も欲しいにゃ!!」
聡太の話を聞いた真備が、興奮し始めた。
「あー。プレゼントのことは、えっと・・・・考えておくよ」
恒久は『行けたら行くね』くらい可能性の低い言葉を、真備へと返した。
「それより真備さん。おれ、プレッソ達と話が出来なくなっちゃってるんですけど・・・」
そんな中で重清は、真備へと言った。
「あ、そうだったにゃ!すっかり忘れていたにゃ!」
真備はそう言うと、パチリと指を鳴らした。
(おい重清っ!!いい加減、無視するなよっ!!)
「うわっ!びっくりした!!プレッソ、いきなり話しかけるなよ!」
突然頭に響き渡るプレッソの声に、重清は驚きの声を漏らした。
(何がいきなりだよ!オイラずっと話しかけてたんだぞ!?)
(あれ?そうなの!?ゴメンゴメン!)
「にゃっはっは!すまなかったにゃ!私がずっと、『獣妨害の術』を使ってたから、重清君は君の声が聞こえなかったのにゃ」
真備はそう言って、笑っていた。
「真備さん、プレッソの声が聞こえるの?」
重清は、真備の言葉に驚いて目を向けた。
「にゃっはっは。それよりもまず、重清君の具現獣達を出してあげた方がいいんじゃにゃいかにゃ?」
「あ、そうだね」
重清は真備の言葉に頷いて、プレッソとチーノ、そしてロイを具現化した。
「だぁーーっ!やっと出られたぞ!」
プレッソはそう言って重清に噛み付いた。
「おい重清っ!ずっと放っておくなんて、ひどいじゃねーか!」
「プレッソ、そう言わないの。重清のせいではないわ」
プレッソをなだめるようにそう言ったチーノは、じっと真備を見据えた。
「ふむ。根来家の者か。であれば、重清では術を破るのはまだ難しいじゃろうのぅ」
ロイも、プレッソの頭の上から真備を見据え、そう呟いていた。
「にゃはは。これでも一応、本家の血筋。そう簡単に術は破られないのにゃ」
真備はそう言ってチーノとロイに笑いかけた。
「え、なになに、どういうこと?」
チーノとロイの言葉に、重清は顔を向けた。
「根来家は元来、具現獣の扱いに長けているのよ。
そして今までその男が使っていたのは『獣妨害の術』、具現獣との会話を妨害し、術の練度によっては具現化すらもさせない術なのよ」
「そんな術まであんのかよ。もし真備さんが敵だったら、シゲ全然役に立たなかったな」
「え、おれそんなにプレッソ達に頼ってる?」
恒久の呟きに、重清は非難の目を向ける。
「大丈夫よ。重清は、私達がいなくてもしっかりしているわ。それに、いざとなったら、私とロイならば中からでも術を破ることは可能だから安心しなさい」
そんな重清に、チーノはそう言って笑いかけた。
「にゃっはっは。さすがは雑賀平八殿の元具現獣。力の扱いには自信がおありのようだにゃ」
真備はそう言って、プレッソへと笑いかけた。
「あら、覚えていたのね」
「昔とお姿は違っても、力の流れは変わっておりませんからにゃ。ちなみにそちらは、雑賀本家にいた具現獣、ゴロウ殿ですにゃ?」
「いかにも。今はロイという名じゃがな。それにしてもお主、いつまで術を使っておるつもりじゃ?」
ロイはそう言って、真備を見つめた。
「やはり、バレておりましたかにゃ」
「え?どういうこと?」
真備が笑って答えると、重清がロイに目を向けた。
「こ奴は始めから、『獣装の術』を使っておったのじゃ」
「あぁ、だからそんな恰好してたのかよ」
恒久は安心したようにそう声を漏らしていた。
「にゃはは。先ほどの犬たちはみな、我が根来家に引き継がれておる具現獣たちなのにゃ。そして今私が獣装の術で纏っている具現獣こそ、私の忍力より生まれた具現獣なのにゃ。さぁ、我が友、シアンよ。皆さんに挨拶しにゃさい!」
真備はそう言うと、獣装の術を解いた。
すると重清達の目の前には、一頭の綺麗な猫が姿を現した。
ロシアンブルー種に似た、綺麗な猫であった。
「我が友、シアンだにゃ!」
真備はそう言いながら、術を解いたことでなくなった猫耳に代わり、猫耳のカチューシャを頭へと装着しながら一同を見渡していた。
「いやその姿と言葉使いは元々なのかよっ!!」
術を解いたにもかかわらず変わらない言葉使いとその姿につっこむのであった。
そしてそんな中プレッソは、
(き、綺麗だな・・・)
目の前のシアンに、じっと見惚れるのであった。
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