第7話
悪魔の彼女に出会って、願いを伝えてから数週間が経過した。
地方紙にはイジメ発覚と大見出しで書かれていた、幼なじみのイジメの主犯格であるガキ大将と取り巻き数人は殺人容疑で逮捕され、学校の校長は責任を取って辞任した。
ネットには、今回の騒動で名を連ねた、ガキ大将や校長などの住所、実名、その他諸々が特定、公開された。
これも、悪魔の彼女の仕業だろう。彼らは社会的に死んだも同然だ。僕は多少やり過ぎだと思った、
しかし、これで、幼なじみも少しは浮かばれただろう。僕はこの事を報告するため、幼なじみの墓参りに行った。
幼なじみのお墓に線香をあげていると、悪魔の彼女が飛来し、墓石に座った。
「これで、お前の願いは叶った。満足か?」
「うーん、分かりません」
実のところ、僕は全く満足していなかった。こんなことをしたとて、幼なじみが帰ってくる訳では無い、僕の願いは最初から変わらず、幼なじみに会うことだった。
僕は幼なじみから貰ったキーホルダーをポケット中から取り出して、焦点を合わせた。
「なんだ? 不服そうだな」
「ええ、僕の本当の願いは、幼なじみに会うことなんで」
「まぁ、それは無理な話だ。アタシはもう、お前の願いを叶えたし、それに、アタシに人を生き返らせる能力はないし、その願いは半分叶っているようなもんだからな」
「どういうことです?」
「出血大サービスだ。ここに行け」
そう言って、彼女は僕に一枚の紙切れをわたすと、突然魔法陣が現れ、彼女を包み、彼女は消えた。
彼女に渡された紙には、幼なじみが犯され、僕がリンチされた川原への道筋が記されていた。
川原に到着する、ここに何があると言うのだろうか? こんなとこに来たとて、幼なじみに会えるはずが無い。結果はハナから分かっていたが、やはり、期待させられた分、落胆した。
故に視点が下方へと向かう。と、そこには、幼なじみから貰ったキーホルダーが落ちていた。うん? おかしい、そのキーホルダーは僕のポケットの中にあるはずだ。
ポケットの中を探ると、キーホルダーはあった。僕は丸石に混ざった、もう一つのキーホルダーを拾い上げる。
すると、僕が先ほどまで持っていたキーホルダーは消えて無くなった。僕は落ちていた方のキーホルダーを凝視する。それは微かに血塗られていた。
……僕は息を飲む。
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