第21話 ダンジョン発見
ライラが持ってきた、依頼の内容は鉱石採集だった。10キロほど魔水晶という名の鉱石を取ってくればいいらしい。つるはしは受け取った。借りものなので返さなくてはいけない。
一応洞窟に入る前に二日分くらいの食料と回復薬を買うことにした。
「なぁ?ライラ二日分の食料何を買う?」
俺は先ほど怒らせてしまったライラのご機嫌取りも兼ねて質問する。すると袋に粉が入った袋を指さす。確かにこれなら荷物の負担もない。この袋の中の粉を現地でお湯に溶かし飲むのだ。この粉と生麺を二日分買った。
氷を入れて実験した結果スレインのくれた袋は時間を停止させる効果があるとわかったので別にスープを直接買ってもよかったが、そこはその場の気分という奴だ。
「じゃあ、そろそろ洞窟に行こ?」
ライラが首を斜めに傾けながら問いかける。
「じゃあ行こうか!東ってどっちだ?こっちかな?」
俺は東だと思う方向へ進む。するとライラは俺の服の襟を引っ張る。
「正人君東こっち!そっち西!」
ライラが呆れた顔で指摘する。
「ああ、東な!あぁ!わかってたよ!ライラがわかってるか知りたかっただけさ」
恥ずかしかったのでごまかしたが、ライラにはすべてわかっていたようで、柔和な笑顔を俺に向けてきた。
町の門をくぐりぬけ洞窟の方向へ進む。目的の洞窟までは2キロ弱ある。ライラとの仲をここは深めるべきだろう。転生直後からライラとは別行動をとるつもりだったのでそこまで仲良くしようとはしなかった。
だが今はライラの希望でもある。だからお互いに理解を深めよう!
「なぁ?ライラ好きなものとかあるか?あと嫌いなものも教えてほしい。」
まずは好きなものからだ。次は嫌いなものをここを知らないとそのうち不快な気持ちにさせてしまうかもしれない。
「好きなもの~う~ん。わからないけど正人君といたいから正人君が好きなものが好きかな?嫌いなのは
今は分からな・・・・あ!正人君を害する奴ら」
途中まで明るくかわいらしく話していたのに急に冷たい声になる。空気が冷たくなり、ぞくっとした。
ふと頭にグレンの姿が浮かぶ。あいつかなりひどい扱いされてたなぁと思っているとライラが話しかけてくる。
「それで正人君の好きなものと嫌いなもの教えてくれる?」
流れで俺の好きなものも聞かれた。素直に答える事にする。
「ん~シチューとか好きだな!嫌いなのはトマトだな!うん。あれだけはだめだ。」
ライラはボソッとシチュー、トマトと連呼し始めた。忘れないためだろう。そんな会話をしながら3時間、予定の時間より長引いてしまったが洞窟にたどり着いた。
目的の洞窟を見つけ入る。
「うわっ!暗い・・・正人くん、松明とか無い?」」
ライラが俺の腕に捕まりながらカタカタ震える。
「いやないな、火魔法使ってみるか。そういえば俺も火属性適正があったのに使ったことがなかった。無属性魔法と同じ使い方で良いのか?ライラ」
「ううん。無属性魔法と違って属性魔法は起こす事象をしっかりイメージしなくちゃいけないからイメージをしっかりして!」
と懇切丁寧に教えてくれた。しばらくして俺の出した浮き続ける火球をライラが見て唖然としている。普通に火球出したら鉱石採集がやりづらいと思っただけなんだけど・・・
さてと魔鉱石を取るか、俺達は近くの壁をつるはしで叩く。一時間ほどして依頼の魔晶石が集まったので帰ろうとしてつるはしを止めると俺たちの掘っていた場所が崩れた。
崩れた場所の奥はダンジョンのようだ。新たなダンジョンと言うことだろうか?少し入ってみることにした。
ダンジョンの壁は薄く発光していたので、火球を出すのはやめた。しばらく歩くと声が聞こえた。先客がいたようだ。
「があああああ、あついあついあつい!おい助けろ!イオ!てめぇあああああああ」
ものすごい悲鳴が聞こえたので駆け寄る。すると燃え尽きて焦げて死んだ男と、大きな荷物を持った男の子そしてメラメラと燃える妖精のようなものが複数舞っていた。
さて帰るか、俺が来た道を振り返ると道は無かった。
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