第3話 『大どんでん返し』 三山 響子さん

〇作品名 『大どんでん返し』

 https://kakuyomu.jp/works/1177354054921256857

 

〇作者名 三山 響子さん


【作品を見つけた経緯】

 紹介者の作品である『愛をはかる薬』に応援と評価をして下さったので、どのような方なのかなと覗きに行ったのが作品との出合いです。

 作品欄には、こちらの作品だけがぽつりと投稿されていました。たった一つの作品しかありませんし、これを読むほかに作者さんを知る手掛かりがなかったので読んでみることにしました。



【作品の一押し!】

 文章が読みやすかったのと、丁寧に書かれている所です。

 内容も、さっぱりとしていて嫌な感じがありませんでした。

 この作品に関しては、人によって後味が悪いと感じる方もおられるかもしれませんが、私は結末を読んで「良かったね」と思いました。

 捉え方次第かもしれないですね。



【感想】

「メアド教えて?」(「大どんでん返し」より引用)


 この作品は、この一言から始まります。

 最初は恋の話でもはじまるのかなと思ったのですが、次の言葉が思ってもみないものだったことで、私はこの作品に惹かれました。


 ――たったこれだけの7文字の言葉を発することが、どんなに難解な試験を解くよりも難しいなんて思ってもいなかった。(「大どんでん返し」より引用)


 ここから分かるのは、主人公が「メアド教えて?」というたった一言を言えないでいるということ。つまり彼はメアドを交換したいと思っていたけれど、それが言えなくて出来なかったということが伺えます。きっと交友関係を作るのに苦労したのかなと、そんなところまで想像してしまいました。


 この作品のいいところは、一言の奥に潜む「光景」。淡々とした文章の中に、読者の想像の余地があると思います。主人公の「一生懸命トライしたけど、何もできなかった!」という心情が想像できるのです。

 そして、結末。

「メアド教えて?」と言えなかった彼は、どうなったのか。

 それは読んでみた人によって、違った感情になるかなと思います。

 そして最後はタイトル通り、ちゃんと「大どんでん返し」でした。


 最後になりますが、きれいで飾り気のない文章が、とても読みやすかったです。

 またこの方が作品を書かれたら、読んでみたいですね。


 今日は『大どんでん返し』をご紹介しました。

 それでは次回、またお会いしましょう。

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