3話 エルミナ視点1

 現在、私のためにクエストを一緒に受けてくれている。本当にソロと違って簡単に戦闘が終わってしまった。いや、クリス強すぎ...。なんでこの人が底辺職業なのか疑問であった。私ほどではないけど多彩な魔法が使えるし剣術もそこそこできている。前に聞いたけどコピーって言う魔法があるからこれほど魔法が使えているって言っていたけど、コピーって魔法を聞いたことがない。多分預言者の固有魔法なんだろう...。だとしたら底辺職業っておかしくない? これほど強いのに何で底辺職業って言われているのだろう?




「クリス以外に預言者って聞いたことないよね...」




「え? なんて?」




「何でもないよ」




「あ、うん」




 今すぐにでも聞きたい。でもクリスがこの前話してくれるって言ってくれた。それなのに私から催促するのはよくない。それに催促をして嫌われるのは嫌だし...。




 その後も私が後衛でサポート、クリスが前衛で戦ってくれた。はっきり言ってそこらへんにいる剣士より強いと思う。多分身体強化を使っているからだろうけど、それでも強い。体をうまく使って敵を切っていた。普通身体強化を使ったら慣れるまで器用に動けない。




 確かクリスと会った時、底辺職業だから一人で冒険をしているって言っていたはず。クリスは現在15歳でEランクだったはず。それなら戦闘を始めたのもつい最近だろう。それだと身体強化を会得したのもつい最近だと考えられる。




(もしかして私とんでもない人と仲間になったのかな?)




 第三王女で上級職業(精霊使い)の私が言える義理じゃない。それでもこのクエストでクリスは異常なほど強いと感じた。




 ギルドに帰るとEランクに上がっていた。




「おめでとう!」




「ありがとう!」




 初めてランクが上がった。すごく嬉しかった。でもクリスがお祝いしてくれたことの方がものすごく嬉しかった。だって仲間として認めてもらえたような感じがした。心の中で喜んでいるところでクリスが私に相談してきた。




「上がったばかりだけど、次は護衛クエストを受けようと思っているのだけどどうかな?」




「私はいいわよ。それは二人で行うものなのかしら」




 はっきり言ってクリスが受けようと思っているクエストなら私はなんでもよかった。クリスと一緒にいると安心できる。クリスが強いってこともあるけど、それだけじゃない。言葉でなんて言ったらいいかわからないけど、クリスの顔を見ていると心が温かくなる。




 護衛任務の内容を淡々と説明してくれる。仲間自体ができることが初めてだったため、仲間が報告すること一つ一つが嬉しかった。

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